
多くの人が使う道路や橋、地下鉄、市民会館などの公共工事の仕事をする業者を決めるには、(1)抽選で選ぶ、(2)知事が選ぶ、(3)価格競争で選ぶ、のうちどの方法がよいでしょうか。
まず、公共工事は、税金を使って、多くの人が利用するものを作るわけですから、一定の安全性を満たした上で、「できるだけ安く」かつ、仕事の発注が「公正」であることが必要になります。(2)の場合、知事が信頼できる良い業者を選べばよいのですが、業者の中には、ワイロを渡したり、選挙運動を手伝い、知事に恩を売ることによって、仕事を得よううと努力するでしょう。(1)の場合は、価格を下げるための努力をする業者もそうでない業者も差がつかないので、誰も企業努力をしなくなり、価格は下がらないでしょう。そこで、コネではなく、かつ、企業努力が報われ、工事ができるだけ安くできる方法として、(3)すなわち(競争)入札制度が用いられるようになりました。
入札制度とは、ある工事の仕事を希望する複数の業者が、受注する価格を紙に書いて提出し、一番低い価格を書いた業者が落札をして仕事を受注するという方式です。ただし、入札で決まる価格には最高価格(予定価格)と最低価格が決められており、あまりに高い価格での落札や、反対に手抜き工事の危険の高いあまりに低い価格での落札を防ぐ工夫がされています。指名された業者だけしか入札参加できないのが「指名競争入札」、一定の資格を満たせば誰でも参加できるのが「一般競争入札」です。
入札制度は、競争により出来るだけ安い価格を実現するので、発注者側と納税者にとってはよい制度ですが、受注する業者にしてみれば、いくら仕事を受注しても、競争のため低い価格となるため、あまり利益があがりません。そのため、入札参加者が、仲間内で話し合いをして、競争をやめ、順番に仕事を受注し、受注をする業者A社と価格(20億円)を決め、受注予定者以外のB社、C社、D社は、A社よりも高い価格(21億円など)をつけて、A社が確実に落札できるように協力するのです。これが入札談合です。入札談合がなぜ悪いかは、前述の入札制度の説明から自分で考えてみてください。
入札談合をするには、入札参加者を見つけて話をまとめ、予定価格情報を入手し、談合に協力しない業者には報復する(例:裏切り業者が指名されないようにする)ことです。つまり、指名競争入札であることと発注者側の協力が入札談合の成功の鍵です。そこで、入札談合をなくすには、独占禁止法により談合する業者を取り締まるだけでなく、知事等発注者側が関与する「官製談合」を防ぐこと(官製談合等関与行為防止法)と、指名競争入札を一般競争入札にすることが効果的なのです。
2007/06/13 村田 淑子