バイオ環境学部 バイオサイエンス学科

生物有機化学研究室

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“フェロモン”とは、異性を引き寄せる特有の香り。但し昆虫は“性”のほかに“集合”“警報”と様々なフェロモンで仲間とコミュニケーションをとっている。生物有機化学研究室ではフェロモンを化学的に研究し、害虫の駆除などに利用。さらなる応用で人類を救う。

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未来の暮らしを支える生物活性物質に着目

虫がもつフェロモン、防御物質、抗菌物質など、分析機器を駆使して生物特有の有機化合物の構造を解明します。生体内での生合成メカニズムや詳細な生物機能を明らかにすることで、学術的な価値を高めるとともにその研究成果は特許申請するなどして産業利用を模索しています。医薬や農業への応用を追求し、人々の健康と快適な生活の実現を目指します。

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教員紹介

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清水 伸泰

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虫の匂いはどうやってつくられる?体内での生合成メカニズムを研究

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虫が「フェロモン」と呼ばれる匂いを出してお互いにコミュニケーションをとっていることはよく知られています。それでは、その匂いは虫たちの体のなかでどのようにして作られているのでしょうか?それを究明するのが、生物有機化学研究室の研究テーマの一つです。主な研究対象はダニ。その多くは無害ですが、一部のダニは小麦粉などの粉に発生したり、農作物の根に付いたりするうえに、アレルギー性皮膚炎の原因にもなります。とても体が小さいため防除するのは困難ですが、フェロモンの生成メカニズムが解明できれば、発生を抑えられるようになるかもしれません。フェロモンの正体は、体内で合成される有機化合物です。虫たちの体内では、有機分子がタンパク質の働きによって段階的に変化していき、最終的に完成した有機化合物が匂いとして外に出ていきます。この生合成経路の詳細が分かれば、画期的な害虫の防除法に繋がるかもしれません。

虫が出す防御物質から殺虫剤を作るプロジェクト

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虫が体外に出す匂いは、フェロモンだけではありません。捕食者などに襲われそうになると、「防御物質」という相手の嫌がる匂いを出すことがあります。生物有機化学研究室では、この匂いを利用して殺虫剤や忌避剤を作れないかという研究にも取り組んでいます。
この研究はもともと、園芸用商品のメーカーから「天然の成分を使った殺虫剤や忌避剤を作りたい」という相談を受けたことから始まりました。かなり有望な物質を発見できたのですが、残念ながらコストの問題で商品化には至っていません。低コストで簡単に手にいれることができ、かつ安全性の高い物質を新たに探しています。
今のところ、虫の匂いを利用した殺虫剤などは販売されていません。これから研究室に入ってくる学生が有用な物質を発見できれば、それが画期的なプロダクトの開発につながる可能性は十分あります。

跳ばないトビムシは匂いで身を守る?生き物を化学的に見ると面白い

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京都亀岡キャンパスにはたくさんの木が植えられているため、そこに生息している虫が研究材料になることもあります。過去には、腐った木に発生するトビムシの一種を扱った学生がいました。その名の通りトビムシのほとんどは跳ぶことによってアリなどの捕食者から逃げるのですが、なかには跳べない種類もいます。なぜ跳べなくても生き延びることができるのか?それを調べるために生活史を観察することから始め、最終的にはアリに対して忌避効果のある匂いを出しているということまで解明しました。このように虫の生態を化学的に考察できるところが、生物有機化学研究の面白さです。化学の知識を通して生き物と向き合いながら、不思議な生態の謎を解き明かしてみませんか?

卒業後の進路

農薬や医薬品などを開発・販売する化学系メーカー。
研究や分析を行う技術職として就職するために、大学院への進学を希望する学生も多く所属しています。

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