バイオ環境学部 食農学科

発酵醸造学研究室

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ニッポンが世界に誇る伝統技術、発酵。発酵醸造学研究室ではそのカギとなる酵母や乳酸菌を研究し、地元農産物を発酵させて商品を開発。大学構内の食品開発センターで、学生自ら試作へ。パフェ、ケーキ、ワッフル、スムージー、大福餅、楽しくて発想が止まらない。ヘルシー&美容に大注目の「菌活」を、大学から仕掛けよう。

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発酵微生物の未知のチカラを、先端の科学で解き明かす

微生物のチカラを利用する発酵は、伝統的な技術であり、進歩を続ける新しい技術でもあります。当研究室は両点に着目し、発酵食品の微生物学的解析を通して、伝統的な発酵プロセスの理解や知られざる健康機能の解明を目指すと共に、環境中の微生物が持つ新奇な機能の研究を通して、これまでにない「発酵」の創出に挑戦します。

 

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教員紹介

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井口 博之

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タデアイを使った「藍茶」を開発

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タデアイという植物を発酵させることで、植物に含まれる藍(インジゴ)の前駆体が化学変換されて藍が生成します。藍染めが盛んであった徳島では、タデアイや藍染め液は染料として使われるだけでなく、解毒薬としても利用されてきました。1~2世紀頃の編纂と言われる中国の書物「神農本草経」にはすでに藍の効能が記されているほど、長い利用の歴史があります。
このような特長を活かして食品としても藍を楽しんでもらおうと、亀岡のほづあい研究所に協力して、タデアイを加工した「藍茶」を開発。葉の乾燥や粉末化の方法など試作を重ねて製品化しました。分析実験を行い、本藍茶には多量の抗酸化成分が含まれることも明らかにしました。藍茶会のイベントでは、地域の方々に藍茶や藍茶入りの和菓子をふるまい好評をいただきました。
実を言えば、この藍茶に当研究が得意とする発酵は関係なく、藍染めの発酵から展開したプロジェクトでした。そこで次は、青い藍茶の開発を思案しています。藍染め液と同様に発酵させればできると予想していますが、こちらは食品、安全な微生物や発酵を考えねばなりません。今後も様々チャレンジを続け、亀岡の藍を広めていきたいと考えています。

地域企業と連携した実践的なプロジェクトを通して、知識とものづくりがつながっていく

発酵食品は美味しく健康に良く、日本が世界に誇る食文化として近年注目が高まっていますが、亀岡は数々の発酵関連企業(日本酒、醤油、味噌、酢、納豆、漬物、藍染めなど)が所在する発酵醸造が盛んな地域です。発酵食品をスーパーで見たことはあっても、製造現場に触れたことがある人は少数ではないでしょうか。研究やプロジェクト授業では製造所を訪れることがあり、その時に働く人の話を聞けたり、現場を見られたり、運が良ければ少し体験させてもらえたり。近隣の企業とのつながり、これも本学部の魅力です。
授業では発酵醸造学や微生物学、生化学、有機化学などについて学びます。しかし、机に向かっているだけではそれらの知識がどのように役立つのかよくわかりません。食品開発センターで実際に製造作業をしてみたり、食品をもっとおいしくする方法を考えたりしながら、実践的に知識とものづくりのつながりを実感してほしいと思います。

卒業後の進路

当研究室では、微生物の培養(発酵・衛生)、化学分析、機器分析、遺伝子工学などに関わる知識と技術を身につけることができます。これを活かして、食品企業(製造、開発、検査)をはじめ、薬品、化学系の企業への就職が考えられます。実際には、学生の多くが食品メーカーや小売業の企業に就職して製造・営業・販売の仕事をしています。

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研究内容

1.伝統的な発酵技術と微生物

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現在市場に出回る漬物の多くは発酵工程を経ていないのをご存じでしょうか?これらは野菜を調味液に浸した調味浅漬けとなっています。対して昔からの発酵漬物は、期間の多少はありますが発酵工程を経た結果、多層の風味が生まれ、乳酸菌をはじめとする発酵微生物による健康機能も期待できます。醤油でも丸大豆を原料としてじっくりと年単位の天然醸造を行う蔵はわずかしかなく、多くは脱脂大豆を用い加温する速醸の方法で製造されています。日本の伝統技術が失われないよう、発酵製品の研究を通してその良さを再発掘していきたいと考えています。地域の企業の協力を得ながら、発酵に関わる微生物やその発酵産物を解析しています。

2.植物共生細菌の新奇機能の解明と応用

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植物の葉や根に生息する植物共生微生物は、植物の健康・生長の調節や環境中の物質循環など、地球環境や農業にとって大切な働きを持ちます。また葉の表面は過酷な場所として知られ、そこでの生育を可能にする微生物の特別な能力は学術的に注目されています。その植物共生微生物が持つ環境シグナル・ストレスへの応答に関わる機能や、有用物質の産生能力について、遺伝子工学技術や分析機器などを駆使して解析を進めています。また植物の葉・花や野菜・果物から有用な機能を持つ微生物の探索も行っています。成果の応用として、植物共生微生物を植物生長調整剤や微生物農薬として作物栽培に利用、これまでにない風味や健康機能を持つ発酵食品の開発を目指しています。

3.化学分析に基づいた家庭用発酵レシピ開発

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家庭で発酵食品を作る利点のひとつは、原料の配合や発酵条件などアレンジが容易なことではないでしょうか。しかしアレンジが望む結果にならないこともしばしば。また発酵と腐敗は紙一重、定法を外れるとリスクもあります。そこで条件の違いが発酵過程や発酵産物(出来上がりの食品)に及ぼす影響を知るため、微生物分析や化学分析によって数値化して特徴付けを行おうと試みています。甘味を抑えたい、健康成分を多く含むようにしたいなど嗜好それぞれに対する原料・発酵の条件(発酵レシピ)をリスト化するのが最終目標。現在は健康飲料として人気の麹甘酒作りや、天然酵母パン作りに取り組んでいます。発酵微生物の働きのより一層の理解と発酵食品の利用拡大につなげたいと考えています。

4.染める藍、食べる藍

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亀岡では、藍の原料となるタデアイの栽培から、タデアイの発酵による藍染め染料の作製、藍染め製品づくりまで行われ、藍の地域ブランド化を目指した取り組みがあります。2015年より栽培に始まり、本事業者と連携してきました。古来より藍が薬として利用されてきたことに着想を得、タデアイを使った健康に良い食品(茶や菓子)の開発に挑戦しています。また染料作りの効率化に向け、藍の発酵に関わる微生物の研究も行っています。

研究設備

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食品開発センター 発酵醸造部門

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キャピラリー電気泳動装置

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高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)

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ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)

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試験管・フラスコ振とう機

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クリーンベンチ

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オートクレーブ

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人工気象器

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PCR装置

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定量PCR装置

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分光光度計

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マイクロプレートリーダー

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エレクトロポレーション装置

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マルチビーズショッカー

各種ビール分析装置

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ディスクミル

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自動糖化装置

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ケルダール分解・測定装置

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瓶内ガス圧計

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アルコライザーAlex150

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LabScat

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NIBEM

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