学科トピックス

2014年08月19日

伝統的建造物にかこまれた町で、広報とまちづくりに生きる

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小浜市役所市民協働課 松原拓也さん(人間文化学部2003年卒業)

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大学を卒業して、小浜市に就職したのが2003年でした。小浜市には縁もゆかりもなかったのですが、それからずっとこちらで仕事をして、現在は小浜市役所市民協働課で、市の広報を担当しています。市内の伝統行事やイベントなどを取材したり、小浜のまちの動きや生活に関わる制度のことを情報としてまとめたりして、広報紙やメディアを通して住民のみなさんに発信しています。

小浜市には、国宝や重要文化財を含む、かなりの数の神社仏閣があります。400年前に小浜城の町人地として栄えた「小浜西組」(国の伝統的建造物群保存地区)には、現在も古い町並みが残っています。ほかにも、伝統行事や昔からの習慣も人々の生活の一部として息づいていて、広報の立場では非常に取材のやりがいがある地域です。

私はもともと町家に代表される日本の伝統的な建築物が好きでして、小浜でも、その保存活動に関わっていたのですが、好きが高じて、2年前に「小浜西組」内の旧お茶屋を購入しました。1年かけて改修して、昨年から家族3人で移り住んでいます。

フィールドワークとサークルで培われたコミュニケーション能力

大学時代は民俗学を学んでいました。図書館で資料を探し当てて読み解く力もつけましたが、民俗学のフィールドワークでは特にコミュニケーション力が培われ、これが仕事にたいへん役に立っています。広報につく前は、文化振興、観光振興も歴任してきましたが、どの職務でも大きな力になっています。

大学ではほかに、絵本や紙芝居の読み聞かせをする「エディターズテクノロジー」というサークルでも活動していました。兵庫や京都の保育園に出向き、初対面の子供たちと対等に渡り合わなければなりません。子供は異文化です。異文化との接触・交流にはかなり鍛えられました。おかげで、小学校や保育園に仕事の取材に行っても、誰とでもすぐに仲良くなれ、市内に子供の知り合いが、かなり増えました(笑)。

今も生きる「自主的に学ぶ」という経験

それから、いち市民としては、まちづくり事業やイベントの企画を、世代も背景もバラバラの仲間たちといっしょに立ち上げて、一年中あれやこれやと運営しています。大学でも、当時ゼミを持っていなかった歴史民俗学の先生たちが主宰する通称「裏ゼミ」に参加して、そこで出会った仲間たちと、映画を観て考察しあったり、ディベートをしたりしました。自主的に学べる場所を与えられて、大学という所は、なんて懐が深いんだと感じたのを覚えています。「自主的に学ぶ」というあのときの経験が、そのまま今の自分を支えているんだなと、今にして思います。

歴史民俗学の先生たちからは、授業内外を通して、「自分の足元にこそ宝がある」ということを学びました。地方で仕事をして、根を下ろし、地域の人とつながりながら暮らしているわたしにとって、今でも心の真ん中にあり続ける言葉です。

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