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バイオ環境デザイン学科

生きものの名前を知ることから開かれる智の扉 / 牛乳パックのリサイクルはするべきか? / 木材から樹木の性質を考える / あなたな~らどうする-たとえば、嵐山の景観・風致の維持について / 健康診断をするように、都市環境の健康を診断する / 赤いペリドット / 安全な水、安全な空気、安全な食料を得る / フィールドから学ぶ生態学


食資源開発コース

生きものの名前を知ることから開かれる智の扉:『都市林概論・都市緑化材料学』

中川 重年 教授
(農業生産学研究室)

生物の単位を種といいます。それぞれの種には学名・標準和名・方言名など名が付けられています。名は単なる符号です。しかし生物種の名を知ることはやっかいです。人々の生活がもっと自然と密着していた時代にはその地方で使われる生物の名をちゃんと知る(区別する)ことは死活問題でした。今では野菜や山菜、生薬などの医薬品は専門店で購入しますから、その品名を見れば自分で生物種名を知らなくとも問題を起こすことはまずありません。ところが実際に生えている樹木や森林の生態を知ろう、用途は?など自分で調べるとなると、そうはいきません。でもいったん種名がわかれば、膨大な智の扉を開けることができます。都市緑化材料論では自然の植物や緑化植物を中心として生物の名を覚えることから、生態的特性の把握、耐気候性など膨大な智の扉を開ける手法を習得します。

牛乳パックのリサイクルはするべきか?:『資源再生工学』

石本 弘治 准教授
(農地環境研究室)

紙は、通常ウッドチップからパルプというものが作られ、そのパルプを水に溶かし漉きとって作ります。牛乳パックは、バージンパルプを使っているので、飲み終えたあと、再び紙の製造プロセスに使うことは森林資源保護の観点から見て正しい選択のひとつです。でも、ちょっと考えてみてください。牛乳パックをリサイクルするときはどのようにしていますか? 水で洗ってリサイクルしていませんか? その洗った水には窒素やリンが豊富に含まれるので河川や湖を汚す原因となります。また、古紙製造プロセスでは、少なからず紙にならない細かな繊維カス(製紙スラッジ)を廃棄物として出してしまう問題もあります。このように、リサイクルの多くは一方では良いことであっても、必ずしも環境の負荷を少なくするとは限りません。総合的に俯瞰し、どのようにすればこの問題を解決できるかを考えていきます。

木材から樹木の性質を考える:『バイオマス科学』

藤井 康代 准教授
(農地環境研究室)

樹木には大きく分けると針葉樹と広葉樹の区別があります。例外はありますが、日本では針のように葉が細くて尖っているものや、葉が一年中緑の場合は針葉樹・・・と思っていれば大体正解です。では家にあるタンスは針葉樹?それとも広葉樹?どちらでしょうか。柱はどうでしょうか。葉がついていないからわからないわけではありません。木材になっていても特徴はあります。顕微鏡を覗いてみれば、針葉樹と広葉樹の違いははっきりとわかります。しかも目で見える組織だけではなく、含まれている成分にも違いがあります。このような差異が、針葉樹と広葉樹の性質に影響しています。注目を浴びている木質バイオマス利用ですが、まず材料の性質を知らなければ有効な使い道はみつかりません。

環境再生コース

あなたな~らどうする-たとえば、嵐山の景観・風致の維持について:『バイオ環境デザイン原論』

北尾 邦伸 教授
(都市自然化研究室)

古の人は京都という場所を選び、風水の理に即した都をつくりました。そこは、『布団(ふとん)着て 寝たる姿や 東山』と詠われる東山や、北山、西山の山々を中景・遠景にして南に開き、種々の生命をはぐくむ水脈を束ねた鴨川と桂川を擁する地です。山並みを『借景』にして社寺や離宮の庭園が造られ、『場所のもつ心地よさ(アメニティ)』や『樹下に風致存す』といった空間が随所に配置されています。
ところで、『借景』となる舞台は、里山的利用を通して維持されてきたものです。桂川に渡月橋が架かる辺りの嵐山は、赤松林や季節感あふれる山桜・紅葉の森を背景にもってこその天下の景勝地ですが、いま、里山利用が放棄され、植生がシイ・カシの常緑広葉樹林に遷移しつつあります。このような場合、自然をどう考え、どう保全するのか。『あなたな~らどうする』事態が、起こっているのです。長期的な見通しをもった計画性と、繊細な精神の下でのデザイン性が求められています。JR亀岡駅は、嵯峨嵐山から列車で10分のところにあり、保津峡に見とれながらトンネルを抜けると、すばらしい田園地帯が広がっています。この田園やそこでの人々の暮らし、そして農林漁業をも貫いたまとまりとして、『流域』はあるのです。

健康診断をするように、都市環境の健康を診断する:『都市環境解析学』

原 雄一 教授
(都市自然化研究室)

健康診断では、血液検査がとても重要です。それと同様に、街に流れる川もその街の環境をよく現します。川を見れば、多くのことがわかります。たとえば川岸に黄色の花が咲き乱れていれば、その川の水は過栄養、すなわち汚れていると判断できます。また、街の中の神社に行けば、大気汚染について知ることができます。神社の木々には、ウメノキゴケという地衣類が付着していることがあります。この地衣類は大気汚染に敏感な生物なので、これを見つけることができればその街の大気はあまり汚染されていないと判断できるのです。健康診断にたとえるなら、街の顔色をみるとでもいえばよいでしょうか。街の環境保全の第一歩は、このような小さな手がかりから現在の環境の状態を知ること。街を『実際に歩き』、『気づく』ことで始められるこれらの方法は、有効な環境診断法になりえます。

赤いペリドット:『マテリアル構造論・設計論』

伊東 和彦 准教授
(都市自然化研究室)

8月の誕生石として知られる天然のペリドットは通常緑色ですが、物質構造としてはフォルステライト(Mg2SiO4)と呼ばれる本来無色透明の結晶です。天然のペリドットが緑色をしているのは、不純物として含まれている鉄が主な原因です。表題の赤いペリドットは通常天然には存在しませんが、フォルステライト組成に適当な不純物を加えて合成することができれば実現できるはずです。マテリアル設計論では、物性(物質の性質)の本質的な理解を基礎にして、必要な物性を備えた物質を創成する方法を考察します。その結果たとえば、不純物として鉄の含まれるペリドットがなぜ緑色をしているのかがはっきりと理解でき、さらに赤いペリドットを合成するための方法を議論することができるようになります。

安全な水、安全な空気、安全な食料を得る:『バイオマス概論』

金川 貴博 教授
(水環境研究室)

石油を使っての大量生産・大量消費によって、大量に廃物(排ガス・廃水・固形廃棄物)が出ます。この廃物は、水や空気や食料を汚染する原因になっており、このまま石油を使い続けると、私たちの健康が危うくなりそうです。人類は古来より、太陽エネルギーを利用して生育した生物体(植物)や、それを食べて育った生物体(動物)を、食料・燃料・衣料・建築材料などとして利用して、健康な生活を送ってきました。バイオマスとは、このような生物由来の再生可能な資源を指す言葉で、バイオマスをうまく使うことが、環境の悪化を止める一つの方法になります。もちろん、一番重要なことは、大量消費をやめ、エネルギー消費を減らすことですが、最先端科学を使ってバイオマスの利用価値を見直すことで、健康な生活につながる新たな道筋を切り開いていくことが必要です。

フィールドから学ぶ生態学:『水圏生態学』

大西 信弘 准教授
(生物多様性研究室)

生きものの暮らしについて学ぶ生態学の分野では、『フィールドこそが最良の教科書』といわれています。実際に生きものが暮らしているフィールドで、どんな暮らしをしているのかを理解するには、フィールドに行って学ぶほかに方法が無いからです。
水槽の魚は、水槽という環境のなかでの暮らししか見せてくれません。他の大学では身近に提供できない最良の教科書(=フィールド)ですが、京都学園大学の周りには、アユモドキ、オオクワガタ、オオサンショウウオといった、日本の稀少生物たちが今なお暮らしているフィールドがあります。このすばらしいフィールドで、生きものを実際に見て、生きものの暮らしについての理解を深めてもらいたい。その手助けとなるように、動物の生態や進化に関する話題について紹介していきます。

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