2011年3月27日開催のオープンキャンパスでの体験実習で植え付けたジャガイモ(品種レッドムーン)の育成の記録です。レッドムーンは、外側が赤く、中が濃い黄色になるおいしいジャガイモだそうです。夏のオープンキャンパスでの収穫を予定しています。
【2011年8月7日】レッドムーンを収穫しました[最終回]
実習農園は、秋になると京野菜栽培加工実習の学びの場となり、冬野菜の栽培が始まります。
夏野菜の収穫風景
収穫されたレッドムーン
夏の実習農園を彩るヒマワリ
後方に見える建物がバイオ環境館です
実習農園産の夏野菜
オープンキャンパスのお土産にもなりました.
【2011年8月1日】収穫の時期が来ました
今日は、レッドムーンの収穫にちなんで、以下、収穫、保存、栄養素と注意、調理について紹介しましょう。
【収穫】ジャガイモは塊茎で、地下茎の先にデンプンと水が蓄積されて肥大したものです。イモから香る軽い土のにおいは、土壌細菌が産生する化合物(ピラジン)によるものですが、塊茎の内部からもそのにおいがします。雨で泥がついた塊茎は保存が良くないので、晴天の日を選んで、掘り上げます。
【保存】ジャガイモは暗所で数ヶ月保存できるそうです。
【栄養素と注意】ジャガイモは優れたエネルギー源およびビタミンC源です。また、ジャガイモの多くは、100g当り2〜15mgのソラニンおよびチャコニンを含んでいます。これら化合物の含量が多くなるほど,独特の苦みと焼けるような感じが強く、消化障害や神経障害、死に至ることさえあります。生育時にストレスが多かったり光にさらされたりすると、通常の2〜3倍の量が蓄積します。光があたるとクロロフィル合成も促されるので、皮が緑がかっているものは、アルカロイド含量が非常に多いと考えられます。緑色のジャガイモは食べずに捨ててしまうことをお勧めします。苦みの強いものも食べないで下さい。
【調理】ジャガイモはさまざまな方法で調理され、多くの料理で材料として使われます。また、品種によって調理特性が異なります。せっかくレッドムーンが手に入るので、レッドムーンにぴったりの料理レシピを探すのも楽しいかもしれません。「レッドムーン 料理レシピ」で検索すると、レッドムーンのガレット、レッドムーンと野菜のバーニャカウダソース、レッドムーンとフェタのサラダ、レッドムーンのビシソワーズ、ハーブ風味のローストポテト、レッドムーンとベーコンの簡単チーズ蒸し・...。いろいろな料理が見つかります。
参考図書:マギー キッチンサイエンス (香西みどり 監訳)共立出版
色づきはじめたミニトマト
引き続き、京都学園大学の実習農園の様子を紹介しましょう。
栽培学実習では、栽培と収穫の学びに加え、食する楽しみがあります。総勢200名もの学生が取り組むので、収穫量も半端では有りません。そこで、食堂の方々の協力を得て、京都学園大学のみなさんにも実習農園の恵を味わっていただく取り組みが続けられています。今日、1回生のみなさんから提供されたミニトマト、ゴーヤ、ピーマン、シシトウを食堂に初出荷しました。オープンキャンパスでも試食できる予定ですので、大学まで足を伸ばしてみませんか。
上段左からゴーヤ、オクラ、大玉トマト
下段左からトウモロコシ、シシガタニカボチャ、スイカ
引き続き、京都学園大学の実習農園の様子を紹介しましょう。キュウリ、シシトウ、ピーマンに続き、トウモロコシ、オクラ、ゴーヤ、トマトの収穫が始まりました。毎日、収穫に励んでいる1回生の姿が見受けられるようになりました.家に持ち帰ったり、ゼミの仲間と調理(?)して、収穫を楽しんでいるようです。
画像下段中央のひょうたん形の大型かぼちゃは、京野菜の1つである鹿ケ谷南瓜 (シシガタニカボチャ)です。このような珍しいものの栽培にチャレンジできるのも栽培学実習の醍醐味の1つです。秋学期には、『京野菜栽培加工実習』が開講されます。『京野菜栽培加工実習』は、京野菜の栽培と加工を通じて、生き物を育てることの意義、食生産の重要性、収穫物を加工して口にすることの意義を学びながら、共食の重要性に気がつくことを目標にした科目です。
【2011年6月27日】 実習農園は収穫間近(番外編)
前回の「実習農園の花畑」に引き続き、京都学園大学の実習農園の様子を紹介しましょう。
バイオ環境学部1回生の作物栽培実習では、収穫の季節を迎えようとしています。例年、収穫した野菜でおかずをつくる下宿生がいたり、実習農園でボリボリ食べる学生がいたり、中には、ゼミでバーベキューをしたり、楽しみ方はいろいろです。
【2011年6月15日】 実習農園の花畑(番外編)
バイオ環境学部の1回生は、春学期、作物栽培実習に取り組みます。実習は、自ら選んだ作物の苗つくりと畝(うね)立てから始まります。トマト、ナス、ニンジン、大豆、スイカ、カボチャ、キュウリ、ズッキーニ、ジャガイモ、エンドウ、シシトウ・・・・。学生が挑戦している作物は様々です。
上の画像にあるように、学生たちが栽培している作物も花が咲き始めています。すでに、自ら栽培した野菜を食して、歓びを満喫している学生もいます。
ところで、農作物の花を見たことがありますか?画像に紹介した作物が何か分かりますか?
2010年度作物栽培実習の様子は、「作物栽培実習農園で収穫が始まりました」、「栽培学実習の収穫祭を行いました」をご覧下さい。
【2011年6月10日】 バイオサイエンスからみたジャガイモ
次から次へと花が咲き始めるので、満開の状態が続いています。
ところで、ジャガイモにとって、有毒成分をつくることはどのような意味があるのでしょうか。化学生態学の研究から、イモに含まれる有毒成分は、ジャガイモ自らが繁殖するために、動物などによってイモが食べられることから逃れるのに役立っていると考えられています。
この品種改良技術が開発されるきっかけとなったのがジャガイモなのです。米国のShepardら(1980年)が、ジャガイモの葉肉プロトプラストから植物体を再生したところ、塊茎をつける時期が早くなったもの、疫病抵抗性のものなど、有用な形質をもつものが現れることを発見したのです。Shepardらの研究成果に基づき、日本でも、品種“男爵”のプロトプラストから皮をむいたイモの褐変が抑えられたホワイトバロン、赤皮黄肉品種“ネオデリシャス”のプロトプラストから芽のくぼみを浅くしたジャガキッズパープルやジャガキッズレッドといった新品種が育成されました。
レッドムーンの花が咲きはじめました
「植物バイオ」と聞いて、「ポマト」という言葉を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。「ポマト(pomato)」とは、ジャガイモ(potato)とトマト(tomato)との雑種に与えられた名称の1つです。ところが、ジャガイモとトマトの間では交配できませんので、従来の交配法による育種では、つくることができないのです。では、どのようにしてポマトはつくられたのでしょうか?ポマトの育成には、「細胞融合」と呼ばれるバイオ技術がつかわれました。少し、言葉の説明をしましょう。植物細胞の最外層にある細胞壁を取り除いて、細胞膜だけで囲まれた裸の細胞をプロトプラスト(メモ参照)といいます。このプロトプラストに電気的刺激、薬剤処理を加えると、近隣のプロトプラスト同士が合体した1個の細胞ができます。この現象を「細胞融合」といいます。ポマトは、ジャガイモのプロトプラストとトマトのプロトプラストを細胞融合させることでつくった雑種個体なのです(Melchersら1978年)。この細胞融合法でつくった雑種は70種を越えるそうです(大澤・江面2005年)。日本でも、オレタチ、シュウブル、グレープル、マーブル、ユーブル、トマピーノ、バイオハクランといった愛称がつけられたものや、「病気に強く」かつ「収量と果実品質が良い」ナス接ぎ木台木“羽曳野育成1号”など、数多くの雑種が細胞融合法でつくられています。愛称名をみて、何と何の雑種かわかりますか?
【メモ】:植物のプロトプラストは、細胞壁を微生物由来の細胞壁分解酵素(セルラーゼ)で分解することで得られます。さらに、適当な条件でプロトプラストを培養すると、植物体に再生させることができます。プロトプラストは、細胞融合や遺伝子組換えをはじめとする植物細胞工学のための素材として使われます。
参考図書:大澤勝次・江面浩『植物バイテクの基礎知識』 農文協
レッドムーンのつぼみ
みなさんのジャガイモにはレッドムーンという品種名がつけられています。名は体を表すといいますが、品種のネーミングにも品種開発した人たちの思いが秘められています。レッドムーンは、赤い皮に黄色い肉色のジャガイモで、「食に彩(いろどり)を加える品種」の1つです。
ところで、ジャガイモの花を知っていますか?はたして、レッドムーンはどんな色の花を咲かせるのでしょうか?花が咲いたら、栽培日記にも紹介しますので、楽しみにしていてください。
最初に栽培化されたジャガイモは、学名をソラヌム・ステノトーマム(Solanum stenotomum)とする2倍体のジャガイモです。このステノトーマム種から、いくつもの栽培種が生まれたとされています。その1つが、大型のイモをつける4倍体ジャガイモのソラヌム・トゥベローサム種(Solanum tuberosum)であり、このトゥベローサム種が世界中に伝播されました(4月28日の紹介)。みなさんが店頭でみかける「メイクイン」や「男爵」、今回栽培している「レッドムーン」はいずれも品種名であり、世界各地で栽培されているジャガイモ品種は、いずれもソラヌム・トゥベローサム種に分類されるのです。
【メモ】ジャガイモの染色体の基本数は12で、基本数の2倍の24本の染色体をもつものを2倍体、基本数の4倍の48本の染色体をもつものを4倍体といいます。2倍体のものには、「ジャガイモの故郷(4月28日)」で登場したSolanum stenotomum以外に、Solanum ajanhuiriやSolanum phurejaがあります。4倍体のものは、世界各地で栽培されているSolanum tuberosumです。また、36本の染色体をもつ3倍体の栽培種には、Solanum chauchaやSolanum juzepczukii、60本の染色体をもつ5倍体の栽培種には、Solanum curtilobumという学名が与えられています。
24株で芽が確認できました。みなさんのジャガイモの様子を見に来ませんか?
栽培記録に加え、山本紀夫 著『ジャガイモのきた道』(岩波新書)から学んだジャガイモ情報を紹介したいと思います。今回は、ジャガイモの故郷です。
ジャガイモには、ほかの作物と同様に、畑で栽培される栽培種と野生状態で生えている野生種があります。
栽培種とは、『栽培の過程で植物を人間にとって都合よく改変した結果、野生の植物とはすっかりちがったものになっている植物のこと(山本2008)』です。ジャガイモには、7種の栽培種が知られています。その中で、学名をソラヌム・トゥベローサム(Solanum tuberosum)とするジャガイモが、南米のアンデスからスペインへ、スペインからヨーロッパに、そして世界中に広がり、今日、コムギ、トウモロコシ、イネについで、栽培面積が世界4位を占める作物となっているのです。残りの栽培種6種の分布は、南アメリカ大陸のアンデス高地に限られています。
一方、野生種は、北アメリカ大陸のロッキー山脈から南アメリカ大陸のアンデス最南端までのアメリカ大陸に分布しています。その分布は、海岸地帯から標高4500メートルあたりの高地にまでおよびます。栽培種と近縁の野生種はペルーからボリビアにかけての中央アンデス高地に集中しており、南アフリカ大陸の中央アンデス高地がジャガイモの故郷であると考えられています。
【2011年4月22日】
見るたびに、成長している様子が感じられます。
【2011年4月19日】
昼過ぎにみんなのジャガイモを見に行くと17株で芽が確認できました。残すは7株です。
亀岡の地も暖かくなりました。温室のジャガイモも実習農園に植え替えました。
矢澤・中川両教授(食資源開発コース・農業生産学研究室)による体験実習の内容紹介
レッドムーンの種芋(左)と植え付け作業風景(右)
実習農園にあるビニールハウスで育成中のジャガイモたち

