ようこそ! 京都学園大学経営学部

坂本信雄教授が聞く

  • 2007年9月 5日(水) 21:11 JST
  • 閲覧数16,101
起業家は語る 

VOL.3

坂本信雄教授が聞く  

深尾昌峰 NPO京都コミュニティ放送理事(事務局長)・きょうとNPOセンター常務理事

転機となった阪神淡路大震災でのボランティア

 

 

 

きょうとNPOセンター

京都で活動を行なっているNPO(特定非営利活動法人――主に社会貢献活動を目的に組織された、利益の再配分を目的としない団体)団体。市民社会の発展を目指してプロジェクトタイプの活動を行なうとともに、NPO団体の支援、役所や企業等との連携をサポートしている。
深尾昌峰(ふかおまさみね)きょうとNPOセンター常務理事&NPO京都コミュニティ放送理事(事務局長)

1974年生まれ。滋賀大学在学中に阪神大震災のボランティア活動を経験。市民社会のあり方について深く考えるようになる。大学院在学中にNPO活動を開始。現在、大学や全国各地での講演活動を通して市民参加型のNPO活動を展開中。



前例が無い、日本で初めてのラジオ局を作る


 

坂本 
私は京都学園大の経営学部で、NPO団体について研究を行なっています。その過程で面識を得たのが深尾さんです。非常に若いスタッフとともに、NPOのラジオ局などユニークな活動をされています。今回はその理念、運営、そして将来などについておうかがいしたいと思います。まず、ラジオ局は設立までが大変だったようですね。
深尾 
そうですね。このラジオ局(FM79.7 京都三条ラジオカフェ)は、京都市の中心部である中京区下京区を聴取エリアとする小さなミニFM局ですが、それでも放送事業ということで(官庁の)認可が必要です。当初からこの放送に賛同していただける市民の方から会費を集めて運営、と考えていたのですが「そんな前例は無い」と何回も却下されました。
坂本 
放送局と言えば、小さくとも資本が必要ですよね。
深尾 
ええ。機材だけでも2000万以上、スタジオの確保や当初の運営で3~4000万円は最低必要です。そこで、市民のみなさんを会員として集めて、10万円の入会金と年会費(個人1万2千円)を支払っていただく代わりに、何分か『自分の番組』を流してもらえるというシステムを作って。開局時にはNPO債を発行して、多くの人や企業の方に無理を言ってお金を集めて・・。2001年の2月に免許を取り、放送を開始できました。
坂本 
自治体の第3セクターの地域ミニFMとかは多いですが、NPOというのは全国で初めてだったわけですね。
深尾 
ええ、今は他にもありますが、当時は最初でした。


 

坂本 
なぜラジオ局を、と思われたのですか?
深尾 
1998年にNPO法人が認められるようになり、その活動をサポートできるNPOセンターを設立したわけですが、まずNPOとは何か、何をしているのか知ってもらわないといけない。その情報発信として何かないか、と思ったときに、ラジオというメディアは面白いのではないか、と。それで、言い出してしまったやつが運営をやれ、と言うことでになって、ずっと事務局長をやらされています(笑)。
坂本 
ラジオの効果というのはいかがですか。
深尾 
例えば車を運転している時に、ふいに飛び込んできますよね。ボランティアセンターにパンフレットなどを置いていても、まず「不意の来客」というのはないわけです。その点で、不特定多数の人に情報を発信できているという感覚はあります。
坂本 
今、ここ(スタジオに隣接する喫茶店・ラジオカフェ)で流れている放送を聴くと、若い人向けの音楽が流れていますが、やはりこんな番組が多いんですか?
深尾 
そんなことはありません。音楽でも、年配の方向けの演歌の番組もありますし、ジャズのマニアが作られる番組もあります。自主制作番組が非常に多いんですよ。中にはお坊さんたちがDJをする『坊主カフェ』とか(笑)。修学旅行中の中学生が番組を作った、ということもあります。廃校になった小中学校の校歌を流す『校歌の時間』などは人気も高いんですよ。
坂本 
それはいいですねえ。その放送を支えておられるスタッフの方は、大学生など若い方が多いようですね。
深尾 
ええ。KBS〈京都放送〉OBの方などから技術的なアドバイスを受けていますが、若い人がどんどん知識を吸収して技術スタッフやDJなどで活躍してくれています。大人の人と接して刺激を受ける、というのは彼らにとっても良い体験だと思います。


学生時代に大人と触れ合う、そこで『若さ』が武器になる


 

坂本 
深尾さん自身、大学時代にそういう体験をされましたか。
深尾 
僕は真面目な勉強家の学生で(笑)。いい高校に行って、いい大学に入って、いい会社の社員か公務員になって、というのが『いい人生』だと思っていました。それが、阪神大震災のボランティアに行って、人の死と初めて向き合った。そして、何もかも失いながら、悲劇と向き合って、そこから立ち直ろうとする大人の姿を間近で見た。この経験は大きいですね。それまでの自分は温室の中でぬくぬくと育っていた。しかし実際に生きる、ということはそんなもんじゃないし、素晴らしいことなんだ、と考えるようになって。まあ大学卒業の時にはモラトリアムで大学院に進みましたが。
坂本 
その経験が軸となり、市民参加型のNPOでの活動へとつながったわけですね。
深尾 
そうですね。本当に、さまざまな人から、それこそ子どもから80代の方までいろいろな人と出会い、視野を広げていただいたと思います。僕は学生さんや若い人に「書を持って、街に出よう」と言うのですが、学校での勉強だけでなく、学校の外での人との出会いを通して市民としてのバランス感覚を養うことが大切だと思います。だからNPOでも、市民参加、あらゆる人が集まる場所、というのを大事にしたいと考えています。
坂本 
その拠点がラジオであり、このお店でもあるわけですね。
深尾 
京都の三条という繁華街の中心ですから、本当にいろいろな人が来ますね。また老舗のお店なども多く、この街に根付く放送局でなければならないと思います。京都と言う街の底力はすごいですから、まずこの街で認められたいですね。祇園祭の時はずっと生中継をしていますが、少しずつ、京都のラジオ局として知られてきたかな、とは思います。
坂本 
運営面ではいかがでしょうか。
深尾 
おかげさまで、単年度ではなんとか損は出ない感じになりました。スタッフの待遇も良くして行きたいですし、NPOとは言え僕は事業だと思っていますから、採算性もきちんとしていきたいと思っています。
坂本 
その上で、今後の目標や夢と言うと。


 

深尾 
もっと多くの人、そこらへんを歩いている人が、ふらりと参加できるような番組を増やしたいですね。他の放送局や自治体ではできないことに挑戦して、「小さい放送局だからできること」――いろいろな人の接点となる番組を作りたいと思います。
坂本 
深尾さんのお話をうかがっていると、エネルギーを感じます。今の学生を見ると、少しそんなエネルギーに欠けているように思えますが。
深尾 
お膳立てされるのに慣れてしまっているのかもしれません。高校でも大学でも、これをしなさい、次はこれ、と言うように準備されて、それをこなしている。アルバイトもそんな感じで、時間が無くなってしまうのかな、と思います。
坂本 
あと、何かをしようにも「先生、お金がないからできない」とか(笑)。
深尾 
お金はあとからついてきます(笑)。何も無くても、『若い』というだけで大きな財産なんです。お金や信用は、大人から借りてきたらいい。誰でも最初は一人から、ゼロからのスタートですよ。まず勉強して、社会に触れて、そこで何らかの夢、志しを持つ。それに共感してくれる人を少しずつ集めていけば、そしてその仲間が互いに自分に足りないものを補っていけば、なんでもできますよ。と言いつつ僕は苦労してますが(笑)。でも若さはそれだけで、貴重なんです。
坂本 
だからこそ、若い時を大事に、そして街に出ていろいろな人と出会って欲しいですね。今日は元気になるお話、ありがとうございました。うちの大学も放送部が元気なんで、彼らにも良い刺激になると思います。
深尾 
じゃあぜひ、うちの局で番組を作りましょう!


 

サイト管理者はコメントに関する責任を負いません。

English Korean Chinese Simplified Chinese Traditional

QRコード

QR code

イベントカレンダ

サイトカレンダをスキップ

«
2012年 02月
»
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29

ログイン

ログイン

オンラインユーザ

ゲストユーザ: 24