ようこそ! 京都学園大学経営学部

藤川義雄准教授が聞く

  • 2009年2月17日(火) 18:41 JST
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VOL.7

藤川義雄准教授が聞く

新井啓造 ㈱ケイエスシー代表取締役社長  

 
 
    
㈱ケイエスシー

大阪市中央区に本拠を置く、ソフトウェアの開発、エンジニアの人材派遣、コンサルタントなど幅広くソフトウェア関連の仕事を行なう会社。平成10年創立と若い会社だが、独特の分社化経営で関連企業6社、社員数約40名のグループへと成長している。
新井啓造(あらいけいぞう)
 
株式会社ケイエスシー代表取締役社長 
京都学園大学法学部卒業と同時に同社を設立。その後、社長のかたわら経営学部の大学院に学び、修士号を取得した。

 


社長は大学院の学生さん? 

 

藤川
今日、お話をうかがう新井さんは、本学法学部の卒業生で、卒業と同時に起業を実現した方です。本日は、起業のきっかけやその後大学院で学びなおそうと思った動機などをお伺いしたいと思います。まずは大学時代のお話から伺いたいと思いますが、新井さんは法学部生でしたが、経営学部の授業を受けにきていましたね。
 
新井
法学部の必要単位は取ったんで、なにか面白そうな授業はないかな、と思って他学部をうろうろして。授業というか、僕、教授の研究室に遊びに行くのが好きだったんで。いろいろな大人の、専門家の話を聞けるんですから、大学は楽しいところです(笑)。
 
 
藤川
 
確かに新井さんは教授たちの間でも有名人でした。とにかく人なつっこい、えらく存在感のある学生がいるぞ、と。その彼が卒業と同時に会社を作ると聞いて、みんな驚いたけど「彼ならやりかねないな」と。
 
新井
ちゃんと就職の内定も取っていたんですけど(笑)。学生時代、これからはパソコンをきちんと学ぼうと思って、まずアクセスに慣れようと自分で学んで。その頃、実家の物流業の手伝いをしていて、在庫管理などにパソコンを導入したらずいぶんと効率化が図れるなあ、と思ったんですね。決してコンピュータにすごく強かった、とかいうわけではないですよ。ただこの世界で勝負するなら、若い方がいいとは思っていましたし、親も起業に理解をしめしてくれました。「失敗するなら早いほうが良いだろう」って(笑)。
 
藤川
ちょうど、IT産業で若者の起業が相次いだ時代をむかえていましたね?
 
 
新井
ええ。飲食店のオープンする数とおなじくらい、ソフトウェア関連の会社が生まれたという時代でした。ただ、プログラムの開発にこだわるだけではなかなか生き残れないですよね。やはり営業主体で、お客様がソフトに何をのぞんでいるのか、それをきちんと考えてやっていけるところでないと。あとは資金繰りの苦労に耐えるとか・・。法学部で商法などの理論武装をしていたことは、経営に役立ちましたね。
 
藤川
 
やはり大変な時代があったのですか?
 
 
新井
社員数が10人前後、という時代が長く続きました。大きくしたいんだけど、なかなか人が育たない。良い人が辞めてしまう。あの頃はきつかったですね。
 
藤川
その新井さんが、7年前でしたか、経営学部の大学院に入学されたのは。
 
 
新井
ようやく会社も軌道に乗ってきて、少しだけ余裕ができたんですよ。それで、これからの会社の発展のためにも、まずきちんと経営の理論を知ろう、そして理論と現実のギャップを考えてみよう、と思ったわけです。
 
藤川
学生だと経営学の授業は難しいところが多いかもしれないですね。それが、実際の仕事を体験することで意味が見えてくる。僕はよく学生たちに、「経営学はあとから体験を通しておもしろくなってくる」と言っています。 
 
 
新井
そうですね。修士論文も自社を題材にしたので、楽しく書けました。会社を見つめなおすいい時間でしたね。あと、仕事でも役立ったんですよ。取引先との打ち合わせで「すいません、その日は大学院の授業があるんで」と言うと「お前、おもしろいやつやなあ」とか言ってもらえて(笑)。あと、仕事が忙しいときには先生にまとめて授業をしていただいたり・・感謝しております(笑)。でも大学院での勉強は本当に役に立ちました。自分ひとりで突っ走っていると、これでいいのか、という不安が出てくるんですよ。それを、学問という商売と違う角度で見ることで打ち消すことができる。
 
藤川
経験の少ない若い社長にとって、学ぶこと自体が大きな経験になったわけですよね。

 
 
 
 
 
会社を作るのは簡単、大切なのはそこから先
 

藤川
ところで、社長が大学院で勉強されたわけですから、社員のみなさんも勉強する雰囲気が生まれるのではないですか?
 
新井
コンピュータの技術者は、若いときはソフトウェアだけに取り組んでいても、やがてはお客様へのコンサルタント的な仕事に変身して行ってほしい、と僕は思っています。そのためには、幅広い勉強が必要です。若い社員に勉強しろ、とは言いますね。
藤川
そういう姿勢を社員の人に持ってもらうことは経営者として重要ですよね。分社化を進めておられるのも、社員の成長のためですか?
 
新井
もちろん仕事へのやりがい――モチベーションを高めてもらうということもあります。分社化することでトップの立場に立ってもらう。そこで、自分の夢のために頑張ってもらえたらな、と思います。僕は、プログラムの仕事というのは、個々の夢を形にできる仕事だと思っています。僕の夢と違う夢を持つ人をトップにおくことで、自分にない部分を補ってもらえるのではないか、というのが分社化の第一の理由ですね。また個々が働きやすいチームを作るためにも、小規模な会社のメリットは大きいと思います。法学部出身ですから、会社の登記とかはお手の物ですし。
 
藤川
お話をうかがっていると、新井さんの仕事とは人を作る仕事だなと思います。そんな新井さんの、経営哲学というか、どのような会社に育てたいと思っておられるかをうかがいたいのですが。
 
新井
まさに人材こそが、この業界の会社にとってはすべてであると言って良いと思います。それだけに、良い社員が長く、安心して働き続けられる会社にしたいですね。今、うちの社員の平均年齢は25歳なんです。彼らが安心して働ける会社、少なくとも自分たちが常に勉強をしていれば、5年や10年は問題なく楽しく働ける会社でありたいと考えています。
 
藤川
今の時代、大企業でも、安心してずっと働ける、という状況ではなくなってきていますよね。
 
新井
大変な時代ですよね。ことに我々中小企業の経営者から見れば、給与や待遇といった目に見える部分ではないところで「働く社員みんなの気持ち」をどうケアしていくかが重要になると思います。そのために大事なことは、『身の丈に合った仕事をする』ということではないかと僕は思っています。今の自分にできること、それを、誠意をつくしてきちんとやる。そこに喜びを見いだせることが重要だと。
 
藤川
それを実感してくれる若者とは、具体的にはどのような人でしょうか?
 
新井
真面目な人でしょうね。コンピュータが好きな人の中には、人と話すのが苦手な人もいますが、それでも真面目な子なら、1年でお客様に納得してもらえるような信頼を得ることができるでしょう。最初は人見知りしていた若者が、自分のやった仕事に自信があれば、きちんと説明できるようになります。取引先に信頼されれば、ますます仕事も楽しくなるでしょうし。
 
藤川
やはり取引先との信頼関係をどう作るかが一番大事でしょうね。
 
新井
大学を出たばかりで作った会社がなんとかやってくることができたのは、取引先の方々にかわいがってもらえた、育てていただいたことが一番大きいと思います。いろんな中堅企業の社長さんたちとも知り合いました。本当に様々なタイプの経営者がおられます。そんな人たちと話すことで、自分の経営者としての姿勢ができてきたと思います。
 
藤川
学生時代に「こんにちは」と言いながら、いろいろな教授の研究室を訪ねていた新井さんの姿を思い出しました(笑)。
 
新井
 
ほんと、なれなれしい学生で(笑)。でも、大人の話を聞く、ということは、本当に大切なことだと思いますよ。僕、大学生は好きなことをやって、思いっきり遊べばいいと思っています。できれば「大学生でしかできない遊び」に打ち込んでほしい。同世代の友人と、夢を語ってほしい、と。
藤川
大学時代の仲間が会社のメンバーとしても活躍されていますよね。
 
新井
2人が分社の社長をやっています。他にも、京都学園大の卒業生社員がいますよ。でも、同世代だけでなく、大人や、もっと若い人の話を聞くことは大事です。若い人に言うんですよ。会社を作るのは簡単だって。ただ、作ったはいいけれど仕事の進め方がわからない。それを教えてくれるのが、実際に働いてきた先輩たちですよ、と。
 
藤川
うちの大学でもインターンシップなど、実際に働いておられる人との出会いの機会を作っています。
 
新井
それは良いことですよね。そこに、専門の授業できちんと知識を身につける。良い先生との出会いも、大学での財産です。僕、時々藤川先生に習ったことを思い出したりしてますよ。
 
藤川
その話は恥ずかしいので辞めましょう(笑)。でも自分の教え子が、成長した姿を見せてくれることは嬉しいことです。今日は本当にありがとうございました。
 
新井
こちらこそ、ありがとうございました。

 

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