
| 経済学部学会ホーム > 経済学部学会のニュース一覧 > 2006年度第2回公開講演会(京都大学大学院教授・橘木俊詔先生を迎えて)(20061130) | 2006年度 第2回公開講演会が開催されました
経済格差問題の研究で知られる京都大学大学院教授・橘木俊詔先生を講師にお迎えし、11月30日に経済学部学会主催の2006年度第2回公開講演会が開催されました。 橘木先生が1998年に出版された『日本の経済格差』(岩波書店)は、格差問題が学会だけでなく、マスコミ、さらに最近では国政の場でも取り上げられるようになった「格差論争」の直接的な契機となりました。 本年9月に出版された先生のご高著『格差社会−何が問題か−』(岩波書店)では,前著が日本では1億総中流社会が崩れ「相対的貧困」が拡大していることを指摘されたのに対し,「絶対的貧困」の問題、つまり経済的に最低限の生活すらできない人が急増していることを指摘されると共に,7項目からなる格差社会克服のための具体的な是正策を提言されております。 『格差社会−何が問題か−』のテーマで開催された今回の講演会では,先ず初めに富裕層と貧困層との間の相対的格差の拡大と共に,近年では絶対的貧困の問題が深刻化してきている状況を生活保護受給世帯数の増大を一つの例として説明され、その背景として家族形態の変容と社会保障制度の弱体化があることを指摘されました。次に、このような格差社会克服の処方箋を考える際に重要なこととして、従来はトレード・オフ(非両立)の関係にあると考えられていた公平性と効率性の関係が、スウェーデンやフィンランドなどの福祉国家の事例をもとに「両立しうる関係である」との見解を示されました。さらに、ここ数年顕著に見られるようになった「結果の不平等」か「機会の不平等」かの二者択一論の誤りを指摘し、我が国の格差問題の本質に関わることとして、結果(所得)の不平等が機会(教育・職業)の不平等を生み出し、それが階層の固定化に繋がりつつあることを指摘されました。最後に、こうした格差の問題は、最終的には「身近にいる困窮者を放っておいて良いのかどうか」という我々一人ひとりの価値判断の問題であることを強調し、講演を締めくられました。 学内外から講演会に参加したおよそ200名の出席者は、我が国の格差問題に警鐘をならし続ける橘木先生より、その実態と背景、さらには問題解決のための基本的な考え方について丁寧で分かり易い解説を聴き、格差問題への理解と認識を深めることができました。
 京都大学大学院教授・橘木俊詔先生 |
 熱心に聞き入る出席者 |
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