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人間文化学部10周年記念大学院 人間文化研究科
 
 
 

特色ある学びのプログラム|京都の美と国際教養(3/3)

本物のよさを分け隔てなく見きわめたい――手間暇をかけて人やものとつきあう

――お祭りを毎年つつがなく守り受け継いでいく一方で、突然立派なグランドピアノを置かれる。京都の方はそういったことをなさるのですね。

小島:そうですね。ご近所の明倫小学校もチェコのペトロフというピアノで、いいものをキチッと子供たちに伝えていきたいという気持ちがあるんだと思います。国産でも外国のものでも、いいものはいいと。どんなものでもまずは同じレベルで見て、分け隔てなく見て選んだものがたまたま外国のものだっただけで、いいものは国産でも同じ。私たちも子供たちも、自分の身の回りだけではなく、いろいろなことを見ながら、その中で選んでいくことをいとわずにやっていこうと思います。

――本物だからいいのですね。本物はお金だけでなく手間もかかります。

小島家のグランドピアノ

小島:はい。でも、いいものは手間がかかっていて当たり前ですから。それを省いてしまってはいけない。私も今回この家を直して、ほんとに手間がかかると思ったんです。でも、それやからともっと簡単にやってくださいというつもりもなかったですし、100年もってきた家をもう100年もたそう思うたら、同じような手間をかけないとできないと思いますしね。今は時間と手間を短縮することばかりにみんな気を遣っているみたいですけれど。私はやっぱり「それをなくしてしまってどうするの?」といつも思っているんです。だから、手間をかけ時間をかけて、納得できるものをつくっていけばいいと思うし、今の時代、子どもも手間かけずに育てましょうということになっている気がして。人間とも、ものとも毎日向き合って、時間をかけてつきあってみないとやはりいいことは見えてこないし、理解もできないと思うんです。

大人の街・京都でいかに学び、大人になるか

藤田:京都の方々はお公家さんから商人さんまで文化のレベルが高いですね。こちらには本当に「商人の文化」を感じます。京都の方はお稽古が好きで、西洋のことにも大変お詳しいです。そこは東京など他の地域と少し違うところかもしれません。日本の若いみなさんは、西洋だけではなく日本のことも知るべきでしょう。高級ブランドに憧れるより、まずは京都のことを感じて、もっと勉強していくことが大事です。京都の方には強い精神があると思います。厳しいことを言っても、言葉ははんなりと柔らかく、美しいと思います。

――どこから勉強したら、京都のことをよく学べるでしょうか?

藤田:京都が好きだったら、ここで結婚しなさいといわれて、お嫁に来て、京都の人々と同じように過ごし、40年も経てば「あんたは京都の人なんや」と言ってもらえるかもしれません。学生さんにも少しでも何かを感じてもらえればいいのですが。

パリの街はさまざまな美しさの顔を持つ

小島:そうですね。地方のどこに行っても基本的には一緒やと思うんですね。暮らしに対する考え方やものの価値観とか、まずはそういった普通の生活に対して目線を合わせることからしないといけないのかなと。京都は大人の街ですから、子どもは子どもとしてしか扱ってもらえない。そこでどうやって大人にアプローチしていくか、それが大事なところだと思いますね。大人として扱ってもらいたかったら、やっぱり大人としてのおつきあいができるようにしないといけないし、それをするためにみんな、いろいろなことを見たり聞いたりしているのかなと思っているのですけれど。

パリと京都——美しい街と暮らしをめざして

――学生はどうしたら大人のおつきあいができるのでしょうね。

藤田:私も留学生として京都に来て、そういうことがとても不安でしたが、ご年配の方々の仕草とか歩き方などを密かに見るしかないでしょうね。難しいものです、見るだけといっても、実際やってみると硬くなるし、やりすぎだといけませんし。京都の人々はやはり人をよく見ているので、丁寧に見習い、丁寧に生活すれば「あなたは京都の人なんや」とおっしゃってもらえるでしょう。京都は決して心を閉じるところではありません。いけずではありません、ちゃんと見てはります。

基本となる街並みが統一された様式美をもつパリ

小島:ジャクリーン先生はパリと京都は似てると言ってくださって。私たちは町家の保全を考えるためにパリの街を見たり、イタリアなどにも行ったりしたんです。それで、あの美しい街と京都が似てると言われたときは、不思議な気持ちもしたり、ところどころ納得できる部分も見えたり。ただ、その根幹のところが似ていれば、京都にもヨーロッパやパリのように美しい街並みが戻ってくるかもしれないという気がします。そのためにも、これからも先生のお話を心して聞かせていただきます。

藤田:こちらこそ、外国人があまりいなかった40年も前から、京都のみなさんが優しく見守ってくださって、本当に一生ご恩に思います。私も小島さんのことは遠くから拝見させていただいていましたが、いろいろなご研究もなさいますし、昔から町家や地域づくりのこともすごくがんばっておられて、これからも謹んで見習い続け、もっと京都を大切にして、ずっと暮らしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

――今日はどうもありがとうございました。

 
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