教員紹介教員・学生からの発信 人間文化学会
人間文化学部10周年記念大学院 人間文化研究科
 
 
 
ブログ 国際ヒューマンコミュニケーション
特色ある学びのプログラム 音楽とコミュニケーション 国境を超える音楽
特色ある学びのプログラム|美と国際教養コース偏:音楽とコミュニケーション 国境を超える音楽

ジェロの魅力

ジェロがひたむきに演歌を歌っている姿をみていると、「古き日本の心はここにあり」という不思議な気持ちになって、なんだか応援したくなりませんか。ヒップ・ホップのファッションで演歌を歌う意外性が話題になったけれど、それだけじゃない。ジェロの歌が人びとの心を動かすのは、彼が日本の歌を心から愛しているから。それが歌に感じられるからではないでしょうか。
いまや横綱も大関も外国人力士。巨人の4番など、プロ野球の中心でも外国人選手が活躍しています。一方、イチロー選手や中村俊介選手など、多くの日本人が海外で堂々とプレーしています。柔道はJUDOとして世界中に広まり、2008年秋にはロシアのプーチン前大統領が教則DVDを発表するといったニュースも飛び込んできました。
こうしたスポーツの世界に比べると、日本のポピュラー音楽はあまり国際化してきませんでした。日本の音楽市場は世界2位を誇り、世界中の音楽が入ってきているのに、逆に、多くの日本人アーティストのCDは日本でしか売れない。そこにあるのは、「日本人の日本人による日本人のための音楽」です。

世界に響く日本の音楽

岡崎宏樹

とはいえ、例外もあります。坂本九の歌う「上を向いて歩こう」は1963年のアメリカのヒットチャートで3週連続1位になりました。おもしろいのはタイトルが「SUKIYAKI」、歌は英語ではなく日本語のままだったことです。英国のレコード会社の社長が「すき焼き」と「さよなら」しか知らなかったので、この名前になったそうです(笑)。
THE BOOMの「島唄」が世界的に有名なことはご存知かもしれませんね。マルチ・アーティストのアルフレド・カセーロが2001年に発表した「SHIMAUTA」は、アルゼンチンで大ヒット。翌年のFIFAワールドカップでは、アルゼンチン代表チームの公式サポートソングとして歌われました。カセーロはこの曲をブエノスアイレスの寿司レストランで偶然耳にし、日本語で歌うことを決意したそうです。
「SUKIYAKI」は、アメリカのジャズやポップスの影響を強く受けた曲なので、アメリカでも受け入れやすかったのだと思います。しかし「SHIMAUTA」は沖縄の音階をつかった曲ですから、その響きが遠くアルゼンチンで人気を呼んだのは興味深いですね。注目したいのは、「島唄」をつくった宮沢和史が沖縄出身ではないこと、沖縄への憧れと尊敬からこの曲をつくったということです。
ある国民だけに楽しまれている音楽と、国境を超えて広がる音楽。その違いはどこにあるのでしょうか? 異文化へのリスペクトがひとつのポイントとなりそうです。
私の担当する「音楽とコミュニケーション」の講義では、《音楽の感動》を社会的・文化的背景をふまえて分析していきたいと思います。