ビジネス法学へおこしやす Part.2

【第11回】 契約 is freedom!? ―契約自由の原則とその例外・修正―

1.契約自由の原則とは何か

歴史を振り返ると、身分的な拘束が認められていた時代もありました。しかし、今日では、そのような拘束は否定され、少なくとも法思想の下では、人間が自由かつ平等であることが基本的に承認されています。このことから、人間は、平等な立場で、その自由な意思に基づいて自由に契約を締結することができるとの考え方が形成されました。この考え方は、「契約自由の原則」と呼ばれており、近代の契約法はこれを理論的な基盤として築かれました。

契約自由の原則の「自由」の意味は、一般には、①締結の自由(契約をするかしないかは当事者の自由である)、②契約内容に関する自由(契約内容をいかなるものにするかは当事者の自由である)、③相手方選択の自由(いかなる相手と契約するかは当事者の自由である)、および④契約方式の自由(契約の方法は自由である)、であるとされています。

2.契約自由の原則の例外・修正

もっとも、これらの自由は無制限のものではありません。たとえば、①医師、電気会社やガス会社は契約(患者が医師の診療を受けるのも医師と患者の契約です)を拒むことが法律上許されておらず、②保険などの契約では、保険会社が事細かな内容を事前に決定しており、私たちはこれを変更する自由をもたず、③公益的事業(電気、ガス、水道)などでは、私たちに相手方を選択する余地がない場合があり、④「特定商取引法」という法律は、販売員が家庭などを訪問して商品を販売する訪問販売などにおける契約書面を規制しています。

また、自由な意思の下で締結された契約は当事者を拘束しますので、原則として、国家がその実現を保障しますが、その内容が著しく社会的妥当性・合理性を欠く場合には、その契約内容を実現してもらえないということを裁判所に訴え出ても、国家はそれを保護しません。こうして、①公序良俗(社会の秩序)に反する内容の契約は、無効とされています(民法90条)。また、②強行規定(法令の規定のうち、当事者がそれに反する合意をした場合であっても適用される規定)に違反する内容の契約は、同様に無効とされます(民法91条)。

3.公序良俗違反・強行規定の具体例

公序良俗違反とされる契約の具体例としては、密輸契約、愛人契約、殺人契約などがあります。

また、強行規定の具体例としては、例えば、利息制限法1条があります。この条文は、お金の貸し借りの場合における利息が、①元本が100,000円未満の場合は20%、②元本が100,000円以上1,000,000円未満の場合は年18%、③元本が1,000,000円以上の場合は年15%の利率により計算した金額を超えるときは、その上限を超える部分につき無効であるとしています(同法1条1項)。さらに、借地借家法は借家人に不利な特約を無効としており(同法9条、37条)、労働基準法も法律の定める基準に満たない労働条件の契約内容を法律に満たない限度で無効としています(同法13条)。これらは社会的な弱者を保護するために、契約自由の原則を修正しているのです。

Antonios KARAISKOS(カライスコス・アントニオス)
専門分野:民法・消費者法