法学会J-CLUBが龍尾祭で模擬裁判を行いました

模擬裁判「有責配偶者からの離婚請求」

10月26日、私たちJ-CLUB(法学会学生組織)は、本学学園祭「龍尾祭」で模擬裁判を行いました。J-CLUBは、学園祭以外にもオープンキャンパスなどの大学行事で積極的に模擬裁判を行っています。今回はこの「龍尾祭」用に新シナリオ『あなたの妻でいたくない!! ~有責配偶者離婚請求事件~』を完成させ、上演しました。「有責配偶者からの離婚請求」とは、簡単に言うと、浮気した夫あるいは妻からの離婚請求は認められるのか、というものです。今までに上演してきたシナリオとして、「安楽死事件」や「誤想過剰防衛事件」などがありますが、これらは全て刑事裁判でした。今回の「離婚請求事件」は民事裁判ですので、私たちにとって新たな取り組みとなりました。

今回のシナリオの概要(事実の概要と判旨)は以下のとおりです。

事実の概要

敏腕女医X(45歳)は、夫Y(45歳)と婚姻以降17年間同居生活をしていたが、現在は不倫相手と同棲中であり、夫Yとは別居期間が3年に及んでいる。夫Yは、かつて大企業の社員であったがリストラされ、現在、うつ病状態にあり就業もできない状況にある。XY間には、高校3年生の長女Aと中学校3年生の長男Bの2人の子供が存在する。本件は、有責配偶者である妻Xから夫Yに対し離婚請求がなされた事案である。妻Xは離婚後に子供が満22歳を迎えるまで生活費、養育費および慰謝料35万円を毎月夫Yに支払うと主張しているが、夫Yと子供は離婚を望んでいない。

判旨

請求棄却。
「本件離婚請求は、・・・・・有責配偶者からの離婚請求を認めるための3要件のすべてを満たしていないため、信義則に反するものとして許されないので民法770条(裁判上の離婚)1項5号による本離婚請求を棄却する」。

この事件のポイントは、婚姻関係が破綻状態にあるとしても、有責配偶者からの離婚請求が信義則上許されるかどうかにあります。判旨によれば、離婚請求が認められる上記の3要件は以下のことを指します。①夫婦がその年齢および同居期間と対比して相当の長期間別居している、②夫婦の間に未成熟の子がいない、③相手方配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的にきわめて過酷な状態に置かれるなど離婚請求を容認することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が存在しない(最判昭和62・9・2民集41-6-1423)。聴衆の学生の多くは、模擬裁判の進行の中で、離婚請求は認められないという結論にそれぞれ達していたようでした。

被告による証人尋問

被告側による証人尋問

模擬裁判を演じた法学部生

模擬裁判を演じた法学部生

さて、シナリオ作成は何度も修正を重ねる苦労の連続でした。まず、民事裁判の手続を一から調べ、民事手続法担当の先生の研究室を訪ね、具体的な民事手続というものを勉強しました。そして、新シナリオの担当者が繰り返し会議を開いてシナリオの大筋を決めていき、原告や被告の主張、証人への尋問など細かい部分での問題点をなくしながら仕上げました。特に、判決の部分は先生方にもずいぶんとご指導を受けました。こうして「龍尾祭」にようやく間に合わせることができたわけです。本番当日は、数ヶ月に及ぶ練習の成果のおかげで模擬裁判を成功させることができ、私たちも一安心すると同時に大きな達成感を味わうことができました。

2007/11/1 法学会J-CLUB
http://www.geocities.jp/kgujclub/index.htm