学問とは、「世界を言葉で言い尽くそうとする営み」ではないかと思います。網羅的な体系を構築しようとする志向が常にあって、それがより大きく精緻に組み上がっていくところに、人はおもしろさや美しさを感じるのではないか、そんなふうに思います。
たとえば「発酵学」あるいは「醸造学」は、古来人間が微生物を利用して食品などをつくり出してきたという現実の「世界」を体系的に記述しようとするものであり、それは「微生物学」という別の体系のある部分を成し、「生化学」というより大きな体系とも交錯しています。そしてまた、それらは決して静的なものではなく、新しい知識によって、あるいは人々の関心の在処によって、常に更新を迫られるものでもあります。
教科書を理解しようとする「勉強」ではなく、その後ろに広がる現実の世界を理解しようとする「学」のありようについて、講義を通じて私自身も考えを深めたいと思っています。

篠田 吉史 准教授
担当科目は「発酵・醸造学」等。京都大学大学院修了後、(財)地球環境産業技術研究機構(研究員)、ドイツフライブルク大学(ポストドクトラルフェロー)を経て現職。農学博士(京都大学)。