【限界コラム】田中泰延のエンタメ分党 自分の心を知るためのブックガイド

【限界コラム】田中泰延のエンタメ分党

自分の心を知るためのブックガイド

みなさんこんにちは。田中泰延といいます。ひろのぶと読んでください。46歳です。サラリーマンをしつつ、田中泰延のエンタメ新党という映画のコラムを書いたりしています。

それはそうと、みなさん、『シン・ゴジラ』観ましたか。僕はまだ5回しか観ていません。

今日は心理学の本をいくつか読みますが、『シン・ゴジラ』を観てシン理学について考察することも人生には大切です。

さて、大学進学を目指すみなさん、そしていま大学生のみなさんは、勉強しなきゃいけないけど、つい、後回しにしてしまうことってないですか?僕はあります。今がそうです。いや正確にはさっきまでがそうでした。なぜなら今僕はこうして原稿を書いているからです。感動です。自分を褒めるということはとても大切なのです。

いやなことは先延ばしにする、勝手に自分を褒める、こういった行為も心理学はどのように解き明かしているのでしょうか。勉強するのがとても楽しみです。

さて、今回も、いろいろなお話をお伺いするために京都学園大学におじゃましました。今日やってきたのは京都亀岡キャンパス。いっしょに取材してくださるライターは、さえりさんカツセマサヒコさん。

二人仲良く京都亀岡キャンパスに登場してくれました。ましたが、この時点で僕の機嫌はかなり悪くなっています。

ふたり並んで記念撮影です。さえりさんの首の角度がカツセ(呼び捨て)に寄っています。そこのゆるふわパーマの男、離れろ。僕の機嫌は、限界まで悪くなっています。今回のコラムがなぜ【限界コラム】かというと限界まで機嫌が悪いからです。

そうこうしているうちにさえりさんは心理学の服部先生の取材に。カツセの野郎はキャリアサポートセンターの小野里先生のところへ行きました。ぼくはもう、子供の頃、初めて「おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」という話を聞いたときぐらい嬉しく思いました。離ればなれなのです。

で、さえりさんは服部先生と並んで記念撮影。

さえりさんの首の角度が服部先生に寄っています。服部先生、イケメンなのはわかります。しかしなぜおれの気持ちをわかってくれないんださえりよ。

そんなどうにもならない気持ちに苦しんだりする人間の心理を分析し、よりよく生きるための学問が心理学だと思うのですが、内容はインタビュー記事を読んでいただくとして、僕には今回、服部陽介先生から課題図書が与えられましたので、読みながら勉強していきたいと思います。

しかし、さえりさんがイケメン先生と話しているあいだ、わしはなにをすればいいんじゃ。

京都学園大学京都亀岡キャンパスすぐそばには、有名な観光コース「保津川下り」があります。そこをみなさんに紹介するために取材し、エクストラ・カリキュラー・アクティビティーズ的な、課外授業的な記事を作成すればいい、そう気がつくには時間はかかりませんでした。僕の心理学的な「やる気スイッチ」が入った瞬間です。

しかし僕のようなおっさんが観光船の取材をしてもだれも読んでくれません。僕の顔写真など、だれが見たいでしょうか。そこでお願いしたのは、たるちゃんこと関東の現役女子大生、樽見祐佳さんです。

そもそも、現役の学生である樽見さんには、学生の視点からみた京都学園大学の注目ポイントや、関東と関西の大学生の意識の違いを取材してもらう予定でした。

なにより樽見さんのブログ、「車好きの姫にもなれない女子大生」には前から注目していました。理系だけあって異常にマニアックなクルマ話の炸裂ぶり、ぜひ工学系の先生の取材をしてもらおうと京都までお越し頂いたんですが、なぜか話は急遽「彼女が船に乗って、僕が写真を撮ればいい」という状態に変化を遂げつつあります。

こうなったら仕方ありません。あくまで業務の記事を作成するために、仕方なく、仕方なく女子大生と船に乗り、写真を撮る、これは業務なのです。サラリーマンに生まれてよかったと心の底から思いました。

しかし当然ですが、この樽見さんの顔。「なぜ私が車ではなく、理系の先生への取材でもなく、遊覧船に乗ることになったのかさっぱりわからない」という顔をしています。僕にもうまく説明できないので彼女がわからないのは当然です。

ですが樽見さんは自分の心理をコントロールするかのように、すかさず

アイスを食べ、

団子を食べ、

米を食べました。

結果、どうなったか。

ご覧ください、この笑顔。食べ物は人間の心理にとって重要なのです。一見食べてばかりいそうですが、取材も頑張った「保津川下り体験記」はこちらの記事をどうぞ。

さて、観光取材も終わって僕には課題図書の山が残されています。

まず、服部陽介先生も執筆陣のひとりであるこちらの本。

記憶心理学と臨床心理学のコラボレーション
杉山崇 (著) 丹藤克也 (著) 越智啓太 (著)(北大路書房)出典:Amazon

さあ、さっそく読んでみましょう!パッと本を開いたところからでも勉強はおもしろいものです!えーと、「1章 記憶心理学の基礎概念と現状」、ふむふむ、

「短期貯蔵庫が単一のシステムであれば、短期貯蔵庫言語論的推論課題の成績に大幅な低下がみられるはずであった。しかしながら数字的復唱課題によって短期貯蔵庫は単一ではなく、複数の成分で構成されることが示唆された。そこで彼等は中央実行系(central executive)とそれに従属する音韻ループ(phonologcal loop)、視空間スケッチパッド(visuospatial sketch pad)に三成分からなるワーキングメモリを提唱し」

…。先生、先生、服部先生。

服部先生

ぼくにわかるわけないでしょう。

服部先生

先生、先生、服部先生。
僕は恋愛とか仕事とか人間関係とか心理学でわかりたいんです。もうすこし手っ取りばやくなんとかなりませんでしょうか。

そこであらためて悩める僕も「心理学って面白い」と思えるような本を教えていただきました。

では、自分の心を知るためのブックガイドを始めましょう。

ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか
ピアーズ・スティール 池村千秋 (訳) (CCCメディアハウス)出典:Amazon

うわぁ、いきなりな本ですね。耳が痛いというか、読むだけで目が痛い。だいたい、わたし、この本を読むのを先延ばししてましたわ。

先延ばし研究10年超の世界的権威、ピアーズ・スティール教授、この本はさぞとっとと書かれたんでしょうね。僕がこの原稿をいつ書いてるか知ってますか。言いたくないわ。

『「だらだら癖」から抜け出す方法を扱った本はたくさんあるけれど、本書が違うのは、脳科学、行動経済学、心理学を使った「先延ばし研究」を徹底的にメタ分析、その発生メカニズムを解き明かしたこと。』

とあります。自分が先延ばし人間かどうか自己診断するテストもついていますが、そんなテストは私の場合、まったくやる必要がございません。で、克服法としては、「理想とする自分を思い浮かべる。次にそれに向かって励んでいない怠惰な自分を思い浮かべる」というもので、まぁ、ダイエットと同じですね。まずは体重計に乗れ、鏡を見ろ、自撮りして写真を見ろ、と。

具体的には、「メールの着信音を切るだけで、10%作業効率が上がる」とか、ツイッターとかFacebookとか、やるべきことがある時は見ない、とても大事ですね。

「強制的に一歩を踏み出す」ことがいかに大切か、原稿ならはじめの数文字だけでも書けば何とかなるということを教えてもらいました。

歴史上の有名な先延ばしによる笑っちゃうけど悲しい事例の紹介も豊富で、読み物としてとてもキツい面白い本でした。

あなたの知らない心理学―大学で学ぶ心理学入門
中西大輔 (編) 今田純雄 (編) (ナカニシヤ出版) 出典:Amazon

大学で心理学を学ぶということはどういうことなのか?そもそも心理学とはどういうものなのか?心理学は科学だが、厳密には医学ではなく、哲学ともテーマを共有している部分もあるということ。心理学は統計に基づく部分も大きい…なるほどなるほど。

また、心理学の研究対象は「ヒト」には限らないというお話も興味深いものでした。「パブロフの犬」というロシアのパブロフさんの実験は有名ですね。犬に肉を与えるたびにメトロノームを鳴らす、犬に肉を与えるたびにメトロノームを鳴らす、犬に肉を与えるたびにメトロノームを鳴らす、パブロフさんはこれを繰り返したところ、犬が肉を食べているとメトロノームを鳴らしてしまう身体になってしまった、あの実験です。違います。逆です。

大学で心理学を学んだあと、どのような進路があるかも丁寧に教えてくれます。章の間にはさまれるコラムも読みやすい本です。

自分のこころからよむ臨床心理学入門
丹野義彦 坂本真士 (東京大学出版会) 出典:Amazon

この本ではまず、心理テストを使って今の自分の心の状態をチェックします。「なぜ自分はこんなに落ち込むのか」「なぜこんなに人と接するのが怖いのか」、など、「抑うつ」「対人不安」「妄想・自我障害」など。「なぜ心の病気になるのか」といった根本的な問題を説明してくれます。

また、どうして人はストーカー、もしくはストーカーチックになってしまうのか、どうしてSNSで自分じゃない自分をアピールしてしまうのか、そんな状態に対しても冷静な判断が下せるようになる本です。

この本の中で僕が特になるほどと思ったのは自分や他人の心を知るには、「1人称理解」「2人称理解」「3人称理解」がどれも大切だということです。「1人称理解」は「オレってこうだよな〜」という理解、また「自分に置き換えるとよくわかるな〜」という理解、「2人称理解」は「あなたはこうなんですね」とこれはカウンセリングの手法ですね。そして「3人称理解」は「彼はこうである」という客観的科学的手法。

いくつかのアプローチで、「ほんのささいなネガティブなできごとだけに注目していたり」する心の特性が浮かび上がってきて、「自分を知って、健康に生きる」ための方法論を、順を追って知ることができます。

ちょっとムズカシイところもある本だけど、とても誠実な語り口で、「こころの風邪ひき」のときには、また読みたくなる本です。

マシュマロ・テスト:成功する子・しない子
ウォルター・ ミシェル 柴田裕之 (訳) (早川書房) 出典:Amazon

さえりさんのインタビューでも服部先生が触れられていますが、この本はかなり衝撃的です。本書の著者、ウォルター・ミシェルは20世紀で最大の影響力を発揮した心理学者といわれていますが、こんなテストを子供たちにします。

「マシュマロをすぐ1個もらう? それともがまんして、あとで2個もらう?」

そこからがすごいんです。がまんできた子・できなかった子のその後を半世紀にわたって追跡調査したら、マシュマロを長い時間がまんできた子ほど、「大学入試の点数が良く、青年期の社会的・認知的機能の評価が高かった」さらには、「27歳から32歳にかけて、肥満指数が低く、目標を効果的に追求し、欲求不満やストレスに対処できた」という事実が、圧倒的かつ統計的にハッキリするんですね。

まぁ、先天的なのがすべてではなくて、環境や教育により人は変わること、その訓練の方法なども書かれていますが、びっくりしますよね。

僕は、「いますぐ短い原稿を書く?それとも先延ばしにしてめちゃくちゃ長い原稿を書く?」といわれたら先延ばしにするので、いまこの原稿を泣きながら書いています。じぶんで何言ってるのかわからなくなってきました。

ちなみに、僕が今「マシュマロをすぐ1個もらう? それともがまんして、あとで2個もらう?」と訊かれても、「マシュマロ嫌いなんで、すぐでもあとでもいりません」と答えると思います。

本当は間違っている心理学の話 50の俗説の正体を暴く
スコット・O・リリエンフェルド スティーヴン・ジェイ・リン ジョン・ラッシオ リー・L・バイアースタイン 八田武志 (監修) 戸田山和久 (監修) 唐沢穣 (監修)(化学同人) 出典:Amazon

前回のコラムでも、「ニセ科学」にだまされてはいけませんよ、という本を紹介しましたが、この本も、ちまたに溢れる「心理学を装ったトンデモ俗説」を暴いています。この本で採り上げられているのは

「モーツァルトを聴かせると子供の知能が向上する」
「サブリミナル効果でものを買ってしまう」
「人間には左脳タイプと右脳タイプがいる」
「催眠術で記憶が蘇る」
「人間は脳の10%しか使っていない」
「胃潰瘍の原因はストレス
「夢には象徴的な意味がある」
満月の日には犯罪が増える」

全部嘘っぱちであることをこれでもかこれでもかというぐらいのデータと文献であばいていきます。

心理学を、人の心を読んで操る技術だ、とか勘違いしている人にも読んでほしい、科学的態度が身につく本です。

いかがでしたか?いやあ、勉強って楽しいなぁ、って今回もまた思いました。

いろんな本を読んで思ったのは、心理学は、とても幅広い学問であり、人間のこころについて、「わかった気になる」というのとは真逆の、「わからないことに対する科学的なアプローチ」であり、統計と調査であるということです。また、その最終目的は、「冷静に、健康なこころで生きる」ための勉強だなぁ、という印象を受けました。

だから服部先生がモテそうな感じがするのは、心理学を駆使して人間の心を操っているのではなく、要するにイケメンだからではないかということもわかりましたし、わかりましたけど、

服部先生

わかりましたけど、さえりさん首の角度。

さえり、服部先生

いいんです。僕には樽見さんがいるのです。
俳句だって読むのです。

たるちゃんや ああたるちゃんや たるちゃんや

次回はバイオテクノロジーでお酒の醸造などを研究されている食農学科の篠田先生

さえり、篠田先生

(またイケメンだ…さえりさん、首の角度!)からの課題図書を読みつつ、たるちゃんと僕、ふたりの観光旅行取材の続きをお伝えしたいと思います。

田中泰延
田中泰延

1969年大阪生まれ コピーライター/CMプランナー ひろのぶ党党首。
世界のクリエイティブニュース「街角のクリエイティブ」「田中泰延のエンタメ新党」を連載中。
Twitter:@hironobutnk


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