【衝撃コラム】田中泰延のエンタメ分党 見えないものが見えてくるブックガイド

【衝撃コラム】田中泰延のエンタメ分党

見えないものが見えてくるブックガイド

みなさんこんにちは。田中泰延といいます。ひろのぶと読んでください。47歳です。サラリーマンをしつつ、田中泰延のエンタメ新党という映画のコラムを書いたりしてるんですが、先日NHKのホームページのインタビュー記事で

 

壇蜜さんと並んで載ったんですよ。自分の人生で壇蜜さんと写真が並ぶなんて、もう思い残すことはありません。しかし周りの人からは「並んではいない」「あえて写真が離されている」という心ない指摘がありました。

さて、大学進学を目指すみなさん、そして大学生の皆さん、妖怪は好きですか。妖怪といえばどんなのをすぐ頭に思い浮かべますか。「妖怪ウォッチ」「ゲゲゲの鬼太郎」…わりとまぁ、日常親しんでいるものですよね。

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これは、重要文化財で、室町時代の画家・土佐光信が描いたと伝えられている「百鬼夜行絵巻」ですが、当時想像された妖怪の姿が、いまもわりとポピュラーな妖怪っぽいですよね。何百年後に生活するわたしたちの中に、当時のイマジネーションがそのまま生きているのはとても不思議です。

だれも見たことがないのに、「妖怪ってのはこんなもの」とだれもが語れる。不思議じゃないですか?きょうはそんな話を京都学園大学の佐々木高弘先生に伺って、先生おすすめの本を紹介しようと思います。

今回も、京都駅から電車を乗り換えて、やってきたのは京都学園大学・京都亀岡キャンパスのあるJR亀岡駅。改札を出ますと…

石田梅岩(正面から)

誰。

石田梅岩(ななめ上から)

誰っすか。

石田梅岩(プレート)

あー、石田梅岩。なんだバイガンか。…ごめん。あんまり知らんわ。亀岡生まれの偉人なんですね。こんど勉強しておきます。

そんなバイガンとの対話を楽しんでいますと、やってきましたライターのさえりさんカツセマサヒコさん。カツセさん眠そうです。

カツセさんとさえりさん
さえりさん(左から)

大学に到着し、事前に打ち合わせするさえりさん。

さえりさん(打ち合わせ)
さえりさん(スマホバキバキ)

手元を見ると、スマホはバキバキです。僕、「なぜ女性のスマホはバキバキなのか」という新書を出してベストセラーにしたいです。

今回のコラムがなぜ【衝撃コラム】かというと、さえりさんのスマホはかなり衝撃を受けたんだろうなという、その程度の理由です。

そうこうしているうちに、カツセさんは国際交流センターで留学生に関する取材に。

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さえりさんは佐々木先生に妖怪のお話を聞きにいっちゃいました。

さえりさん佐々木先生取材

もちろん今日もさえりさんの首の角度は安定して傾いています。

さえりさんによる佐々木先生インタビューは、めったやたらに面白かったのですが、それは記事を読んでいただくとして、僕には例によって佐々木先生からの課題図書を読むという仕事が課せられました。

と、その前に、僕が妖怪の話でまず思い浮かぶ自分の愛読書はこれです。

陰陽師
岡野玲子 夢枕獏(原作)(白泉社)Amazon

平安時代のスーパースター、陰陽師・安倍晴明(あべの・せいめい)が主人公の漫画です。夢枕獏の原作小説を、岡野玲子が漫画にしたものですが、これが素晴らしい。小説を漫画化してそれぞれが独立した作品としてお互いに高め合ってるという意味では、光瀬龍の原作を萩尾望都が描いた「百億の昼と千億の夜」とこれが僕の中では双璧ですね。隅から隅まで美麗、幽玄、でもどこか軽妙なのは晴明と親友の源博雅の会話が生きているから。出てくる出てくる魑魅魍魎、妖怪、怨霊、邪鬼、呪法。ところが荒唐無稽ではなくて、私たちの生理にすっと入ってきて理解できる。それは、怨霊も邪鬼も、人の思い詰めた心が生み出すものだから。それに対してシンパシーを感じる、つらさを理解する、説得する、約束を守る、宥める、鎮める、お引き取り願う。これですよ。スーパースター安倍晴明は、悪いやつらをぶった切るヒーローじゃないんですよ。ああ、いい本だ。漫画の巻がすすむと、だんだんワケが分からなくなってきて、読んでる自分の頭が変になったんちゃうかと思いますが、そこまで含めて大傑作ですね。

先生、先生、佐々木先生。妖怪学の見地から、この漫画はいかがですか?

佐々木先生

「ええ。さえりさんともお話したように、主人公の安倍晴明は、あやしげなもの、妖怪と対決して退治するというより、おもてなしして、あるべき場所へ帰ってもらう、そんなシーンがいくつもありますね。妖怪学の入門としても面白い本のひとつですね」

先生、先生、佐々木先生。

佐々木先生

ありがとうございます。ていうか先生がなんとなく妖怪ぽくてお話伺ってるだけで楽しいです。

そしてさらに先生が薦めてくださった本は、いま自分が立っていて、話している京都が、まったく違った街に見えてくる、見えないものを感じるようになる。そんな本ばかりでした。

それでは、見えないものが見えてくるブックガイド、始めましょう。

京都魔界案内
― 出かけよう、「発見の旅」へ 小松和彦(光文社) 出典:Amazon

今回お話を伺った、佐々木高弘先生のお師匠さんである小松和彦先生による、京都がぜんぜん違って見えるガイドブックです。カラー写真も多数でじつに親切設計。北野天満宮に清水寺に平等院、誰もがただの観光地と思っていた場所がこの本を手に歩けばイヤイヤイヤイヤとんでもない場所に見えてくる。さすが京都、千年の都はダテじゃないです。怪奇としかいいようのないモノ、コト、ヒト、そして目に見えないものが蓄積されている。佐々木先生のおっしゃる「景観」とは「場所」とは?なぜここが千年の都になったのか?そしてなぜ「こわいところ」はできるのか?がよくわかるガイドです。解説は京極夏彦!

京都妖界案内
佐々木高弘(著)小松和彦(監修)(大和書房) 出典:Amazon

さて、佐々木先生ご自身による、小松和彦先生監修のさらに突っ込んだ内容の裏京都ガイドブックですね。この本の醍醐味は、ずばり古地図!現代の地図と対比させながら、「妖」なるもの「怪」なるもの「魔」なるものの足取りを追い、そのルートと地点を解き明かす。一条戻橋、鞍馬、貴船、深泥池。あっと驚くのは「鬼とは?」という問いに、天皇の心=都人の深層心理という説が図になって示されていることですね。なるほど都市や社会構造というのは「人間の心の中を外に出して建設されたもの」ですよね。統治者をはじめとするみんなの心の中にある「鬼」が平安京という巨大都市の設計や運営の基礎にある。これは目から鱗でした。となると、いまだって人間が創るものは心の中の「怪(あやかし)」に大きく影響されるんですね。

妖怪学の基礎知識
小松和彦(編) (KADOKAWA/角川学芸出版) 出典:Amazon

さきほどからずっとお名前が出ている、小松和彦先生が責任編集した本です。上2冊の、「臨床的」な本からすすんで、この本を読むと、妖怪について考察するというのは、まさに大学で研究すべき「学問」だということがよくわかります。妖怪は現代ではすっかりエンタテインメントと結びついてキャラクター化してますが、どうも江戸時代からすでにそうだった、とか。もちろん佐々木高弘先生の地理学的アプローチ論も収録。そして柳田國男の民俗学における妖怪観はかなり日本に住むものにとってはグッと来ますね。妖怪研究を進めるためのブックガイドも豊富で、妖怪について勉強したい、調べたい、考えたいという人にはまさに基礎になる一冊です。

風土記の世界
三浦佑之(岩波書店) 出典:Amazon

「古事記」と「日本書紀」は有名ですよね。それと比べると「風土記」(ふどき)はあまり知られていません。どれも8世紀の本です。正史として権威を伝えようとする「日本書紀」に対して、「風土記はそれぞれの国で編まれ律令政府に提出された書物だが、今は、5か国の風土記と後世の書物に運良く引用されて伝わる逸文が遺るにすぎない。数量としてはわずかだが、風土記がなければ何もわからない8世紀初頭の日本列島を記録した資料」と著者は書いています。そして「貴重な資料でありながら、読むためのテキストも注釈書や解説書・入門書の類もほんとうに少ない」と書いています。僕もこの本ではじめて内容を知りました。地方の神話や、滑稽な話、土地の名前の由来、そして古代の天皇たちの生っぽい姿などなど、「なんでもありの宝箱」。そこで描かれる神々も、けっこう間抜けな感じなんですよね。今ではほとんどの地方の風土記が、資料として残っておらず、失われてしまってて残念です。残っていたら日本を見る目はもっと違っていたでしょうね。

昔話の深層
河合隼雄(福音館書店) 出典:Amazon

心理学者で、文化庁長官もつとめた河合隼雄さんの本ですね。河合さんといえば心理学者ユング研究の日本の第一人者。著書も膨大で、対談集も村上春樹に山田太一に吉本ばななに養老孟司に筒井康隆に立花隆に谷川俊太郎に…。僕、いろいろ読んでました。河合さんは、学究的な姿勢とユーモアが融合した、(「日本ウソツキクラブ会長」を名乗っていらした)ほんとに僕、尊敬している方です。この本、「昔話の深層」も有名な本でして、大昔に読んだことありましたが、今回、再読することができました。昔話って、理不尽だったり、ワケが分からなかったり、やたらに「蛙」や「烏」とか同じ生き物が出てきたりしますよね。そこに河合さんらしく、ユングが引き合いにだされるのですが、昔話の類型、構造は父性、母性、自己、のような「無意識」がかたちになったものだということがよくわかります。そしてそれは佐々木先生の妖怪学、先にも述べた平安京は人間の無意識から作り上げられている、というお話と、頭の中がつながる体験ができました。巻末に各章で語られた昔話が載っているのも、ああ、何となく知っていたけどこういう話なんだ、とあらためて知ることができます。

ということでみなさん、いかがでしたか?いやあ、勉強って楽しいなぁ、って今回も思いました。

妖怪学は、「いま、目の前にはないもの」について、「ある」もしくは「あると仮定して」考える、また「あるとする考え方について考える」「なぜあるとする考え方があるかについて考える」学問ですね。妖怪そのものは誰も見たことがないはずなのに、膨大な思想があり、体系があり、文献がある。これってじつは数学や哲学と同じ、ひいては神を考えることと同じ、「形而上・形而下」という人間の脳の働きそのもの、学問する姿勢そのものではないでしょうか。

次回もまた、京都学園大学の先生方のお話を伺いつつ、いろんな本を教えてもらいたいと思います。

さて。毎回、京都学園大学の先生方との、興味深い対談記事を届けてくれるライターのさえりさんですが、どんな思いでこのお仕事に取り組んでいらっしゃるんでしょうか?今回はさえりさんにインタビューしてみましょう。

「妖怪は絶対にいません」妖怪の話を聞いて2時間後のさえりさんに話を聞いてきた

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みなさん、こんにちは! ライターのひろのぶです。突然ですが、さえりさんてどうなんでしょう?

田中ひろのぶ

さえりさんは、どうですか?

さえり

どうですか?って、いちばんざっくりした、良くない質問の仕方ですね。でも答えないと進まないから答えますね。京都学園大学のお仕事では、いろんな先生方の話を伺って、大学の先生っておもしろいんだって、はじめて思ったんです。あらためて勉強したいなって思います。

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田中ひろのぶ

さえりさんご自身は、どうでしたか?

さえり

どうでしたか?という質問の仕方はやめたほうがいいとおもいます。でも答えないと進まないから答えますね。わたしは大学では心理学を勉強したんですけど、心理学って統計学とセットなんですよ。それがもう、チンプンカンプンで。なんとか卒業はしましたけど、学ぶという意味で考えると、挫折しちゃったんですよね。

田中ひろのぶ

もう一回大学へ入るとしたら、どうですか?

さえり

どうですか?が一向に直らないのが気になりますけど、もういちど大学へ通うなら、将来何かに生きる勉強とか役に立つスキル、とかいうより、いま勉強したいことをしたいと思いますね。哲学とか宗教学とか。

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田中ひろのぶ

先生に質問するときに心がけているのはどうですか?

さえり

どうですか?の使い方がもはや日本語としても変ですけど、質問の意図を汲んで答えますね。先生に質問する時にだいじだなあと思っているのは、私が知らないことは、記事を読む皆さんも知らないことかもしれない、と考えることですね。だからすごく簡単なことから訊いてもいいかな、という勇気を持って、基本的なことから質問しています。

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田中ひろのぶ

さっきからどんどんろくろが巨大になっていますね?

さえり

それは田中さんに言われてポーズを取らされているだけですよね。

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さえり

田中さん。

田中ひろのぶ

はい。

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さえり

田中さん。

田中ひろのぶ

はい。

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さえり

カメラが近いです。

田中ひろのぶ

すみません。

さえりさん、すみませんでした。

次回はカツセさんのインタビューもしてみようとおもいます。別にしたくないけど男女雇用機会均等法の精神を大切にしたいと思います。みなさんお楽しみに。

田中泰延
田中泰延

1969年大阪生まれ コピーライター/CMプランナー ひろのぶ党党首。
世界のクリエイティブニュース「街角のクリエイティブ」「田中泰延のエンタメ新党」を連載中。
Twitter:@hironobutnk


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