Twitterは現代人の心にどう影響してる?京都学園大学・橋本先生に聞いてみた

Twitterは現代人の心にどう影響してる?
京都学園大学・橋本先生に聞いてみた

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こんにちは! ライターのさえりです。京都学園大学、京都亀岡キャンパスに来ています。
今回、素朴なギモンをくれたのは、バイオ環境学部食農学科1回生の成尾京香さん。

学生

Twitterって、今や若い子たちもかなり使っているじゃないですか。Twitterが始まったことで、人間性…?みたいなものって変わったんでしょうか?

さえり

(超むずいこと聞いてくるやん)

学生

要するに、Twitterが現代人に与えた影響を聞きたいんです。

さえり

……。

今回このギモンに答えてくれることになったのは、人文学部心理学科の橋本尚子先生。

橋本尚子先生

京都府京都市生まれ。京都大学大学院教育学研究科 博士課程修了、教育学修士。専門は、「心理療法」「臨床心理学」「ユング心理学」。保健所、療育機関等にて母子の発達援助、 スクールカウンセリング等を行う。2015年度「日本箱庭療法学会 河合隼雄賞」を受賞。

さえり

先生は主にどんな研究をされているのでしょうか?

橋本尚子先生

そうですね……。“現代の意識”について研究しています。

さえり

げんだいの、いしき。

橋本尚子先生

はい。わたしは心理療法といって、いわゆる“カウンセラー”をしているのですが、従来の心理療法(ロジャーズ派)だと「カウンセラーは、黙って相手の話を聞く」というのが基本の姿勢なんですね。でも、今は黙って聞くだけでは成り立たないようなケースがすごく多いんです。

さえり

成り立たないんですか?

橋本尚子先生

それが成立するのは相手が喋ってくれる場合だけなんですよね。今は、自分が何に悩んでいるのか自分でも説明できない人が多いんです。

橋本尚子先生

たとえば「友達とのことで悩んでいる」と言っても、その先の「何に悩んでいるのか」「どう悩んでいるのか」は全然出てこない。一生懸命尋ねてみても、「わかんない」と……。そういう人が増えているなという気がしています。こうなってくると、心理療法ってどこまで存在し続けられるんだろう、と思うときもあって……。きっと今の時代に合う心理療法があるはずだと信じて、現代の意識について研究をしていますね。

さえり

なるほど……。でも、どうして「自分のことを自分で話せない人」が増えてしまったんでしょうか?

橋本尚子先生

わたしが思うに、時代の流れとかいろいろあると思いますが、SNS…主にTwitterはかなり影響を与えているんじゃないかな、と。

さえり

えっ、我が友Twitterに原因が!?

さえり

あっ、そうだ。学生さんが「学生Twitterがあることで人間性は変わったか?」って聞いていたのですが……。

橋本尚子先生

変わったと思いますね。

さえり

詳しく教えてください!

Twitterで発散する=考えない?

さえり

改めて……。Twitterをみんなが使うようになって、何が変わったのでしょうか?

橋本尚子先生

心理療法的な視点でみた場合だけのお話になりますが、いいですか?

さえり

もちろんです。

橋本尚子先生

Twitterでどんどん発信して、どんどん発散する。すると、溜め込む・我慢する・悩むなどの機会は少なくなりますよね。それが昔と大きく変わったと感じるところですね。

さえり

ふむ? 発信して発散できているなら、それは心にとっていいことじゃないんですか?

橋本尚子先生

……いいとも言えるし、悪いとも言えますね。

さえり

(ぎょっ、曖昧)。

橋本尚子先生

これはいい・悪いでは言い切れないのですが、発散できるというのは、要するに考える機会がなくなっていくということです。些細な悩みや心のひっかかりを、自分の中に溜め込んで内側でしっかり考える機会が減ってしまったんですね。楽になる側面もあれば、一方でそれらが引き起こす問題もあります。

橋本尚子先生

昔は 、思春期〜青年期は自意識で悩むことって多かったんですよ。自分ってどうなんだろう、とか。でもその点においても、昔と今とでは悩み方が変わっているんです。

さえり

悩み方が変わってきている?

橋本尚子先生

そうです。対人恐怖にしても、昔は「自分がどう振る舞ったらいいかわからない」など、自分自身を恐れるような感じがあったんですよね。

橋本尚子先生

でも今は、自分がどうすべきかというよりも、「相手がどう思っているのか」を探っている印象なんです。友達が何を考えているのかばかりに意識がいっているというか。

橋本尚子先生

カウンセリングをしていても、周りの話はしても「自分はこんな風に思っている」など自分に関する話が出てくるまでに数年もかかる時もありますよ。

さえり

えっ! 数年もかかっちゃうんですか!?

橋本尚子先生

そうなんです。どんどん発散できてしまうからこそ、立ち止まって深く悩むことがない。だから自分がどう思っているか、わからないのかもしれませんね。

さえり

なるほど……。悩みの対象が自分の内側に向かないから、自分について考える機会がない…と。そしてそれはTwitterによる影響も大きそうだ、と。

さえり

……でもそれって困ることなんでしょうか?

橋本尚子先生

心理療法的にいうと、自分の身に起こったことをしっかり受け止めるのはこれが「自分の人生である」という実感につながって行く、とても大切なことなんです。しっかり傷つくべき時に傷ついておくことが大事。もちろん、自分の人生の実感を持ったら持ったで苦しくもなるんですが……、でも生きていく上では欠かせないことじゃないかとわたしは思っています。

さえり

なるほど……。

橋本尚子先生

あとは、Twitterがあることで人に話を聞いてもらう体験も減っているかもしれませんね。

さえり

ん? Twitterに自分の考えたことを書いて吐き出す機会は多そうなので、話を聞いてもらう機会は意外とあるんじゃないかと思っていました…!

橋本尚子先生

でも、吐き出した結果得られるのは、いいね!だったり、「わかる」「それな」みたいな簡易的な返答じゃないですか?

さえり

た、たしかに! それって聞いてもらってることにはならないのか……。わざわざリプライで「なんでそんなこと思ったの?」とか聞かれることもないし、「わたしはこう思う」とかつらつら書くとマジレスかよ、ってなっちゃうし……。

橋本尚子先生

Twitterは、発信に意味がありますもんね。あんまり真面目にかえしても、マジレスとかクソリプとか言われますからね。

さえり

(先生詳しいなぁ)

橋本尚子先生

そういうコミュニケーションもすごく楽しいと思うんですが、やはり自分というものができていく上ではあまり役に立たないですよね。きちんと一定の場所で自分のことを深く話す。そういう機会が必要だと思います。

さえり

発信をたくさんしている割には、自分も何を考えているのかわかっていないし、誰かが何を考えているのかもすごく気にしてしまう。Twitterだけが要因ではないにせよ、人の心がわかりにくくなった……といえるんでしょうか。

橋本尚子先生

そうかもしれないですね。気になってもあえて深く聞かず、違うと思っても違うとは言わず。仲がいい人や家族とでも、基本的にぶつかることをできるだけ避けるようになったと、わたしには見えます。

意見をはっきりと言えない理由は、「多様化」?

橋本尚子先生

ちょっとTwitterから話は逸れますが、今は家族間でも「深く聞かない」「本当は思っていても言わない」というケースがすごく多いんです。

さえり

えっ、どうしてですか?

橋本尚子先生

うーん。どうしてでしょうね。心で勝手に決め付けている方が多い印象ですよ。ぶつかったり真剣に話し合ったりするのが怖いと思うのかもしれません。子供に嫌われたくない、と言っているお母さんもすごく多いです。

さえり

家族間なのに…。

橋本尚子先生

繊細ですよね。親が、子供との関わりにおいて自信を持ちにくいのかもしれません。ズカズカ言うおっちゃんやおばちゃんも減りましたよね。

さえり

それは、親の世代もそういうズカズカ物を言ってくる大人に関わる機会がなかったからでしょうか?

橋本尚子先生

いえ、そんなことはないと思いますよ。

橋本尚子先生

親自身が子供時代に経験していなかったことを、子供が経験しているから、でしょうか。

さえり

経験していなかったこと?

橋本尚子先生

このまえ教育番組で言っていたことなのですが、小学3年生くらいの子が「友達からもらったカードを、ネットで検索したらすごく高値でやりとりされていることがわかって、それを転売したい」って言い出したと。親としては「しないでほしい」と思ったけど、これが現代のお金の使い方なのかなと思って許可した、と言っていて。

橋本尚子先生

ネットとかSNSとか、親の子供時代にはなかったし、自分にはわからないから、言うに言えない。きっぱり言えるほど自信がない。だから違う気がしても我慢する。ということも多いのかなと思いましたね。

さえり

ふ〜む、なるほど。自分もやったことのないことだから、自信を持てないと。

橋本尚子先生

あとは多様化しすぎているのも、親の悩みの原因になっていると思います。

橋本尚子先生

昔は「常識」という考え方が、強固でしたよね。でも今は価値観が多様化してみんなが自由になったぶん、各家庭の親に任されるものが多すぎて負担が大きい、と。

さえり

ふーむ。なるほど。多様化していくことはいいことだ! と思っていましたが、そういう親の悩みも出ているんですね。

橋本尚子先生

はい。子供の不登校ひとつとっても、昔は親が「いや、学校は行くもんや!」って言えたかもしれませんが、今では「学校なんていってもいかなくてもいいんじゃない?」みたいな風潮とか価値観とかも出てくるようになって。すると、それで助かって自由になる人もいるのですが、子供が学校に行きたくないって言った時に「どこまで学校は行くものだって言っていいのかな、どうしたらいいんだろう?」って基準がわからなくて悩んでしまうこともでてくる。理由は聞いちゃいけないのかなとか、どこまで聞いていいのかなとか、行けって言っちゃだめかな?みたいなね。どちらがいいというわけではありませんが、家族間でも「意見を言えない」というのはあまり健全ではないですよね。

さえり

なるほどなぁ。生きやすくなる人もいると思うけど、一方でとまどう人もいるんですね。

橋本尚子先生

もっとこの多様化が当然のようになっていけば、対応もスムーズにできるかもしれませんが、今はまさに移行期なのでむずかしいことも多いかもしれませんね。

さえり

(現代人って、むずかしい問題がたくさんあるんだなぁ)

橋本尚子先生

言いたいことが言えないと、心の中に毒っ気がたまることもありますからね。

さえり

言いたいことも言えないこんな世の中じゃポイズンって感じですかね。

橋本尚子先生

あ、はい。

さえり

(華麗なスルー)

橋本尚子先生

それでネットやTwitterなど匿名性のあるところに吐き出している、という人も多いでしょうね。

さえり

あ、それも気になっていました。わたしが普段生きている世の中ではなかなか攻撃的な人に出会わないのに、どうしてTwitterになるとこんなに攻撃的な人がいるんだろうって。

橋本尚子先生

本来なら、面と向かってネガティブなことを言おうと思ったらどう言おうかすごく考えるじゃないですか。でも考える必要がないから、あれだけストレートで攻撃的になっちゃうんでしょうね。

橋本尚子先生

それと、やっぱり普段から自分の考えを出す機会が少なすぎるのでしょう。心の中に溜まっていて、吐き出す場所を求めているような感じでしょうか。

さえり

なるほど。普段生きているリアルな場では、ポジティブなことを言わなきゃいけない場所が多すぎるのかもしれないですね。

さえり

うーん。面白かったです。

さえり

学生さんのソボクな疑問に答えるならば、「(心理療法的な側面から言えば)Twitterの出現によって、瞬間の気持ちの発散ができる反面、悩まなくなり、じっくり自分を振り返ったり、自分が本当はどう感じているのかはわかりにくくなっている人が増えた」というところでしょうか。答えてくださってありがとうございました!

橋本尚子先生

はい。決してTwitterが悪いというわけではないんですよ。

橋本尚子先生

わたしから言えることがあるとすれば、発信するのも大切だけど本当に自分が考えていることをじっくり言葉にする。そういう練習もしてほしいなと思いますね。友達と真剣な話をしたり、きちんと自分を振り返る時間をつくったり。Twitterがあっても、そういう場を設けることはもちろん可能なので。

さえり

はい! ありがとうございます。お話、すごく面白かったです。

さえり

……。

さえり

わたしはTwitterの良さをたくさん知っていますけど、やっぱりTwitterをやらずにいられる人の方が心が健全なんじゃないかという気がしてきました。

橋本尚子先生

そうですか? 今回のお話はあくまでTwitterをやることで変わったもので、決してTwitterをやらないほうが良いとかそういう話ではないのですが……。

さえり

はい、もちろんわかっています。でも、Twitterをやらずにいられるっていうのは、要するにネガティブな気持ちを発散する必要もなく、自分を立ち返る時間もつくれるってことじゃないですか。わたしはかなりTwitterに毒されているので、Twitterをやらずにいられるなんてすごいなと思っちゃいます。

さえり

先生はTwitterをしているんですか?

橋本尚子先生

いえ。仕事柄勉強はしますが、未だガラケーですしね……。それに、発信したい! とか、見てほしい!とか、そういう気持ちもないので……。面倒くさがりなんです。

さえり

あぁこんなところに偉人が……。

さえり

ちなみに昨今話題の“インスタ映え”とかは?

橋本尚子先生

興味ないですね……。

さえり

Facebookは?

橋本尚子先生

自分の写真とか別に見て欲しくないな……。

さえり

Twitterが出てきたことで起こる弊害を重々承知していても、わたしはもうSNSをやらない毎日というのは想像できないですね。考えていることを出す場所がなくなって、なんだか流れない川みたいになってしまいそう。

さえり

考えていることはできるだけ共有したいし、「おなかすいた」とか「ねむい」とかそういう心の声もつぶやきたい。

さえり

この欲求を殺さずに、プラスアルファで自分を振り返る時間もちゃんと作っていこうと思います!

橋本尚子先生

なるほど……。

橋本尚子先生

あのね、私さっきから思っていたんですけど、

さえり

はい。なんでしょう。

橋本尚子先生

あの……Twitterじゃなくて、

橋本尚子先生

心でつぶやく、っていうのじゃダメなんですか?

さえり

……。

橋本尚子先生

……。

橋本尚子先生

ダメそう…です…ね。

さえり

結論としては、Twitterによって人はあんまり考えなくなった、ということらしいよ。

学生

ふーむ。なるほどなぁ。すごく面白かったです! 勉強になったので、つぶやいていいですか?

さえり

心で?

学生

心で。

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さえり
さえり

書籍・Webでの編集経験を経て、現在フリーライターとして活動中。
人の心の動きを描きだすことと、何気ない日常にストーリーを生み出すことが得意。
好きなものは、雨とやわらかい言葉とあたたかな紅茶。
Twitter:@N908Sa (さえりさん) と @saeligood (さえりぐ)

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