京都学園大学

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Departmentバイオ環境デザイン学科

ランドスケープデザイン研究室(環境再生コース)

更新日:2017年10月16日(月)
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野生のシカが樹木の葉を食べ続けるあまりに、京都の森がピンチ!その被害を調査するべく登場したのがランドスケープデザイン研究室のドローン調査。現状調査を繰り返し、集めた情報を地図にすると見えてこなかった真実が明らかに…。
生態学を学び、未来の自然環境を守る
食糧や水の供給、気候などの調節、癒し効果、物質の循環など、私たちは生態系からさまざまな恩恵を受けて生きています。自然のしくみを学び、それらの原理に迫る「景観生態学」をもとに、持続可能な美しい「生物親和都市」の姿をデザインし、豊かな環境を保全・再生させることが本研究室の目的です。
教員紹介

阿野 晃秀

コメントなし

丹羽 英之

コメントなし
Pick UP!
都市では雨は邪魔者? 天の恵みを蓄える庭づくり
「雨水」と書いて「うすい」と読むか、「あまみず」か。読み方ひとつで実は天と地の違いがあるのをご存知ですか?
これまで、汚水と一緒に下水に流す雨水は下水道法で「うすい」と呼んできました。しかし、2014年に新しく制定された「雨水の利用の推進に関する法律」では、「あまみず」と読むようになっています。「恵みの雨」や「慈雨」という言葉があるように、天からの贈り物をそのまま下水にするなんてもったいないこと。近年ではゲリラ豪雨で下水の排水能力を超えてしまい、内水氾濫の被害も頻発するようになりました。そこで雨水を排除するのではなく、健全な水循環のなかで活用しようという動きがでてきたのです。
ランドスケープデザイン研究室が取り組む「雨庭」もそのひとつ。雨を受け止めて貯留、浸透させることにより、治水防災に役立て、植物を育み、ヒートアイランド現象も緩和して、美しい生活環境に貢献するのです。
実は古くから日本にあった雨庭の仕組みと考え方
雨庭など健全な雨水循環を目指した都市開発は、約20年前にアメリカから始まりました。しかし、同じ発想は日本にも古くからあったようです。
それを教えてくれたのは、相国寺方丈の裏庭、枯山水庭園。小石を敷き詰めて渓谷を表現した「枯流れ」は、デザインの領域でしか語られてきませんでしたが、すごい機能があるのです。豪雨のときには寺院建築の屋根から大量の雨水が流れ込みます。しかしゆっくりと地面に染み込むため、これまでに溢れたことはないとか。 ランドスケープデザイン研究室では、現在この場所に定点カメラを設置。防災の専門家と、機能評価の共同研究中です。 また、すでにあるものの研究だけでなく、実際に雨庭の提案、デザイン指導や活用も行なっています。そのひとつが京都駅ビル内の「緑水歩廊」。雨水が自然力だけで循環する仕組みをつくって、かつて京都にあった巨椋池はじめ、里山・渓谷・池沼の自然を再現しました。特殊プランターのなかでは、絶滅危惧の食虫植物・ムジナモなど希少種も見ることができます。 この「緑水歩廊」と京都学園大学京都太秦キャンパスの雨庭は、社会・経済・環境の課題を同時解決するグリーンインフラ(自然を活かした社会資本整備)として注目されて、環境省が発行する『環境白書』にも掲載されました。
京都の文化に縁深い「和の花」を守り育てる
ランドスケープデザイン研究室では、絶滅危惧種の保全にも力を入れています。とくに京都の文化に関わりの深い草花については、「和の花」プロジェクトと名付けて、京都市とも連携した保全活動を展開し、京都環境賞奨励賞も受賞しました。
たとえばキクタニギク。かつては高台寺境内の国有林を源流とする菊溪川沿いに咲き乱れており、本居宣長などの文人たちが遠方からわざわざ見に訪れていたほどでしたが、現在は川が暗渠となって花も絶えてしまっています。幸いなことに大原野で野生種が発見されたので、その系統保存に協力。「キクタニギクの咲く菊溪川の再生プロジェクト」では、研究室のスタッフと学生が活躍しています。
こうした絶滅危惧種には、湿地や原野の植物が多く、雨庭で育てるのに適しています。なかでも有名なのは、『源氏物語』にも登場するフジバカマ。花屋さんで売っているのは別種で、本来の野生種は京都では絶滅寸前です。これを、京都太秦キャンパスの雨庭で系統保存しています。
さて、ここまでご紹介してきたのはランドスケープデザイン研究室で取り組んでいるプロジェクトの一部です。近隣の自治体、緑に関わる団体や企業と連携しつつ多彩なプロジェクトを展開しているので、学生には自分の興味に合った「ランドスケープデザイン」というものを実践的に学んでもらいたいと考えています。
卒業後の進路
専門性を活かして、環境系コンサルティング業、造園建設業や緑資材メーカー、農業高校に就職する学生が多いようです。また、在学中に京都市のビオトープを研究していた学生が、大学院進学後、京都市役所の担当部局に入った例もあります。

Newsお知らせ

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研究内容

都市の自然林再生

大阪万博記念公園「自立した森」

大阪万博記念公園の森は都市に大規模な「自立した森」と呼ばれる郷土の森を再生する壮大なプロジェクトです。生物多様性を維持する自然のメカニズム(大木が倒れて、多様な次世代が育つ)を応用した、日本で最初の都市公園での「パッチ状間伐」はじめ「順応的管理」のために、研究室あげて継続的に、その手法開発に取り組んでいます。

復元型ビオトープ 梅小路公園「いのちの森」(京都)

都心で最初の復元型ビオトープ京都の梅小路公園「いのちの森」は計画段階から森本が関わり、学園大の研究室も生物多様性のモニタリングや啓発活動に参加し、「第10回京都環境賞」も受賞しました。このモニタリングで卒業論文を書いた学生は、いま京都市役所の「みどり政策推進室」で活躍しています。

雨庭の推進

雨庭のモデル 京都学園大学太秦キャンパス

生物多様性の危機と気候変動という、地球環境の危機に対して、みんなができる対応「雨庭」のデザイン開発と普及啓発に取り組んでいます。雨庭は氾濫原の都市化で失われた植物の生息を可能とするだけでなく、ヒートアイランドも緩和し、治水や利水など様々な機能を持つ、都市のグリーン・インフラストラクチャー(都市基盤)として期待されています。太秦キャンパスにそのモデルを作りました。

京都駅ビル「緑水歩廊」

京都駅ビルには、ビルでもできる雨庭、水道水や商用電力を使わない「緑水歩廊」のデザインとマネジメントに研究室あげて取り組んでいます。その活動はラムサール条約のホームページにも琵琶湖淀川流域の「人工湿地」として紹介されたり、いくつか表彰も受けています。

先端リモートセンシング技術の応用

鳥の目線で風景を読み解く

景観生態学(ランドスケープ・エコロジー)は鳥の目線で風景を読み解き、保全と利用に役立てます。天然記念物アユモドキも住む河川環境や天然記念物深泥池などをフィールドに、リモートセンシングや無人ヘリUAVなど先端技術を駆使しています。これまで、高価で広範囲向きの人工衛星や航空機ではできなかったこと、例えば高解像度の3次元モデルを使った植生の季節現象や成長量の評価法などの研究開発にも取り組んでいます。

樹木医技術の革命を目指して

今後、地理情報システムや地上計測データも総合して、例えば社叢林の樹木景観管理シミュレーションなどを通して、樹木医技術の革命も目指したいと思っています。

学生による研究室紹介

(百生 太亮:博士課程前期1回生)

消えゆく野生植物と「和の花プロジェクト」
太秦キャンパスの雨庭
太秦キャンパスの雨庭
フジバカマ
フジバカマ

私は、京都で絶滅の危機に瀕する植物の保全をテーマに実践的な研究をしています。京都には人々の身近なところにさまざまな野生の植物が生育しています。これらの植物には祭事や園芸植物として利用されるものも多く、京都の文化に深くかかわっています。しかし、これらの野生植物の多くは人々の生活様式の変化や近年急激に増加するシカの採食によって自生地の環境が悪化し、絶滅の危機に瀕しています。

これらの京都の野生植物を守るために、(公財)京都市都市緑化協会が中心となって「和の花プロジェクト」が行われています。この活動では(1)鉢植え栽培を主とした緊急避難的な植物の保全(育成・増殖)や(2)市民への普及啓発、(3)植物の栽培を通じた環境CSRの推進が実施されています。

このプロジェクトに研究室も協力しており、太秦キャンパスの「雨庭」も植物の栽培地として利用しています。自生地が危機の今、私はプロジェクトへの参与観察や生育環境評価などを通して、多様な「和の花」の「生息域外保全」の効果的な手法の開発に取り組んでいます。写真は太秦キャンパスの雨庭とフジバカマです。

卒業研究の一例

  • ノウルシを保全するためには?-本梅川に生育しているノウルシの生育要因を明らかにする-
  • 京都市の巨樹銘木-約40年度のフォローアップ調査-
  • 宝ヶ池公園とその周辺市街地におけるナンキンハゼの逸出状況と結実個体の分布
  • 万博記念公園自然文化園地区「自立した森」における間伐施業年数経過に関するプロットの評価