京都学園大学

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Departmentバイオ環境デザイン学科

里山環境研究室(生物・環境コース)

更新日:2017年10月16日(月)
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農山村地域の里山再生を目指す里山環境研究室では、里山の生物調査や薪炭の採取、さらには里山の環境をリセットする焼畑にまでチャレンジ。そう、これはまさに里山のデザイン。昆虫や植物が好む環境を再生し、人の生業と調和した生態系を再構築します。
豊かな里山の生態系を学ぶ
人手が入った里山には、これまでの長い歴史の中で、原生林とは異なる豊かな生態系が作り出されてきました。しかし、近年の日本の社会構造の変化により、里山の生態系は荒廃の一途をたどっています。当研究室では、里山をフィールドに動植物の生態や伝統的な暮らしを研究し、その自然と文化的価値を現代に蘇らせる方法を探ります。
教員紹介

鈴木 玲治

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Pick UP!
燃やすことで土壌を豊かに。縄文時代から続く伝統農法のすごさ。
除草剤も化学肥料も使わないということで、近年注目を集めている農法があります。それが、焼畑農法。自然に密生している草木を伐採して焼き、その場所で農業を行うという方法で、ルーツは縄文時代にあるといわれています。日本では1950年代以降に衰退していきましたが、数年前から全国各地で焼畑復活に向けた動きが見られるようになってきました。
畑に火を入れると草木の灰が養分になり、土のなかにあった窒素も植物が吸収しやすい形になるため、肥料を加えなくても土壌が豊かになります。土の中にある雑草の種も火入れの熱で発芽力を失うので、除草剤を撒いたり草むしりをしたりといったことも必要ありません。
里山環境研究室では、滋賀県長浜市余呉地域の里山で焼畑農業を実践しています。栽培しているのは、同地の在来の赤カブである「山カブ」。焼畑で育てた赤カブは普通の畑で育てたものに比べて歯ごたえがよく、色も鮮やかであると昔からいわれています。なぜ、焼畑のカブの方が品質がよいのか。それを科学的に解明することも里山環境研究室の研究テーマのひとつです。
循環型でカーボン・ニュートラルな焼き畑農法。
かつて、アマゾンの熱帯雨林を燃やして農地造成を行う様子がセンセーショナルに報じられたことがありました。その影響で「焼畑=環境破壊」という誤解が一気に広まり、現在でもそう思っている人が少なくありません。
しかし、焼畑は「森に戻す」ということ前提とした農法。1~数年間作物を栽培したら土地を休ませて、再び植物が生い茂ってくるのを待ちます。資源利用から回復までのサイクルがあるため、森林を切り拓いてそのまま農業を続けていく農地造成とは、根本的に異なっているのです。
あるいは、木を燃やすことによる地球温暖化への影響を心配する声もあります。燃焼によって大気中の二酸化炭素が増えるという論理ですが、これもまた誤解です。焼畑で使う燃料は、植物が内部に蓄えていたバイオマス。植物が光合成によって大気中から取り込み、炭素化合物として体内に固定していた二酸化炭素が、燃やされることによって再び大気のなかに戻るというだけなので、化石燃料を燃やすときと違って二酸化炭素の量自体は増えていないのです。
放置された里山の環境を、焼いてリセット。
焼畑農法は、里山を再生するためにもいい方法です。
かつて里山は、人々が薪や炭にするための木を伐ったり、堆肥にするための落ち葉をかいたりする場所でした。ところが、時代が下って薪炭や堆肥があまり使われなくなったため、全国で里山が放置されるようになっています。
手入れされなくなった里山は自然と植生が変化していき、暗いところを好む木々が生い茂るようになります。これを「植生遷移(しょくせいせんい)」といいます。植生遷移が進むと明るい環境で生育してきた植物が減少していくため、種によっては絶滅が危惧されているものもあります。
このような状況の里山で行う焼畑は、いわば環境のリセット。鬱蒼とした木々を伐採して燃やすことで、農業に役立てながら生物多様性も守ることができるのです。
休閑期の焼き畑には周囲から種が飛んできたり、火に耐性のある切り株から新しい枝が伸びたりして、再び植物が繁茂していきます。火を入れる前と似たような植生になる場合もあれば、まったく違う様相を呈することもあるため、里山環境研究室では焼畑後の休閑期にどのような植生が回復してくるかということも研究しています。
卒業研究
卒業研究のテーマは、学生自身に見つけてもらうことを重視しています。好きなこと、興味のあることをとことん追求しながら、研究を通して「人間力」を磨いてください。

過去及び現在の卒業研究のテーマの一例:

  • 現代の日本における焼畑の存続条件の検討-焼畑運営形態の類型化から探る-
  • 人工針葉樹林の針広混交林化には何が必要か-広葉樹の侵入・成長過程と間伐の影響から考える-
  • 土壌中の窒素溶脱を抑制した施肥設計の検討-有機物施用が窒素動態に及ぼす影響に着目して-
  • 湖北・余呉町のススキ草地の遷移進行はなぜ緩やかなのか -夏期の焼畑と冬季の積雪が遷移に与える影響に着目して-
  • 若者による亀岡里道トレイルの活用 -景観嗜好調査に基づくみどころマップを活かしたトレイルの普及-
  • ブドウ棚の陰を利用したミョウガ・ミツバの栽培-日本型アグロフォレストリーの可能性の検討-
  • 焼畑における害虫防除効果の検証-3種の害虫の被害状況からの解析-
  • 焼畑休閑地の植生回復過程の解析-埋土種子の発芽に及ぼす火入れの影響や伐開前の植生の差異に着目して-
  • 大槻並の森林環境における地上徘徊性甲中類の環境選好性
  • 土壌肥沃度に及ぼす火入れの効果-焼畑と常畑の比較から-
topics

卒業研究の一例

  • 現代の日本における焼畑の存続条件の検討-焼畑運営形態の類型化から探る-
  • 人工針葉樹林の針広混交林化には何が必要か-広葉樹の侵入・成長過程と間伐の影響から考える-
  • 土壌中の窒素溶脱を抑制した施肥設計の検討-有機物施用が窒素動態に及ぼす影響に着目して-
  • 湖北・余呉町のススキ草地の遷移進行はなぜ緩やかなのか -夏期の焼畑と冬季の積雪が遷移に与える影響に着目して-
  • 若者による亀岡里道トレイルの活用 -景観嗜好調査に基づくみどころマップを活かしたトレイルの普及-
  • ブドウ棚の陰を利用したミョウガ・ミツバの栽培-日本型アグロフォレストリーの可能性の検討-
  • 焼畑における害虫防除効果の検証-3種の害虫の被害状況からの解析-
  • 焼畑休閑地の植生回復過程の解析-埋土種子の発芽に及ぼす火入れの影響や伐開前の植生の差異に着目して-
  • 大槻並の森林環境における地上徘徊性甲中類の環境選好性
  • 土壌肥沃度に及ぼす火入れの効果-焼畑と常畑の比較から-