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京町家「新柳居」連続セミナー・お茶と健康[第6回]を開催しました

更新日:2017年6月19日(月)
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6月10日(土)、京都学園大学京町家「新柳居」で連続セミナー「お茶と健康」が行われました。第6回のテーマとなる「お茶とスイーツのマリアージュ」の「マリアージュ=mariage」は、ワインとチーズの組み合わせでよく聞かれる言葉ですが、違うものが融合して一体になるという意味です。

遠藤直子さんを講師に迎え、抹茶の選び方・抹茶の混ぜ方・抹茶と相性の良いスイーツのラインナップなどを紹介していただきました。遠藤さんはフランスの洋菓子店やレストランでの修業を経て、現在は滋賀県守山市のカフェブーランジェリー「クール ア クール」のオーナーパティシエ。日本茶インストラクター・茶育指導士としても活躍されています。

まず基礎知識として、宇治茶には京都・奈良・滋賀・三重の4府県産茶があり、産地は必ずしも京都だけに限られないと説明。これらの宇治茶の産地では茶園や茶工場、問屋街など歴史を物語る文化的景観を世界遺産登録するための動きがあり、2015年には日本遺産第一号に認定されています。前回の宇治ツアーに参加されていない方にも「ぜひ街歩きを楽しんでください」と呼びかけました。

玉露の定義は府県によって多少異なりますが、京都では棚の覆下園で20日以上覆いをして揉み加工したものと定義されています。これらをふまえて、抹茶の選び方をアドバイス。抹茶はそもそも熱に弱く、製品になってからの保存状態によってもクロロフィル(葉緑素)が失われ、紫外線の影響によっても退色してしまうほどデリケート。抹茶を購入する際は保存状態に気をつけること、クロロフィルの多いお茶を選ぶことが挙げられました。手間ひまもお金もかけられた抹茶は高価ですが、価格の高いものが好みに合うとは限らないので、同じ価格帯で鮮度や香りの良さを試してみる、そしてやはり鮮度が重要なので店でお茶を碾いているお茶屋さんで買うのがおすすめ。一方で、スイーツの材料にする場合はお菓子の油脂分や糖分と合わさった時によりお抹茶らしい味わいにするため苦みのある抹茶を選びます。

この日は、薄茶用(1,600円/30g)とお菓子用(650円/30g)が用意され、参加者の皆さんは実際にお抹茶を点ててその違いを飲み比べました。まずは、ダマになりにくいきれいな抹茶の点て方を遠藤さんがレクチャー。最初に少量の水で抹茶を混ぜてから、温かいお湯(85℃が適温)を入れる方法です。抹茶に少量の水を加えたら円を描くようにグルグル、お湯を入れたら手首のスナップをきかせて前後にシャカシャカと茶筅を動かすのがポイントです。

自分で点てたお抹茶を飲み比べた皆さんは「値段の高い方がまろやかに感じる」「お菓子用は苦みを感じる」「安い方も充分おいしい(笑)」とそれぞれに味の差や好みを確かめました。

お茶菓子に用意されたのは、遠藤さんのお店「クール ア クール」の抹茶のフィナンシェと生チョコ。和菓子のイメージが強い抹茶ですが、今日はあえて洋菓子とのマリアージュを楽しみました。この生チョコのように、生クリームや牛乳、ヨーグルトなどの乳製品と相性の良い抹茶はさまざまなスイーツに使われていること、さらに家庭で抹茶のお菓子を作る際の注意点なども学びました。お菓子づくりにも鮮度の良いお茶屋さんの抹茶を使うと添加物なしで色鮮やかに仕上がります。しかし抹茶は品質保持が難しいので余っても保管せず、ヨーグルトに混ぜたり、抹茶ラテにして飲んだりしてすぐ使い切ってしまうようアドバイス。軽くトーストしたパンにホワイトチョコをのせてもう一度温め、抹茶をふって食べる抹茶チョコトーストや、抹茶に砂糖と水を混ぜた抹茶ソースをつくってアイスクリームにかけたり焼き餅をつけたりして食べるのも遠藤さんおすすめのアレンジ。色々試しながら、自分の好きな組み合わせを見つけていくのも楽しみです。

さらに、スイーツと合わせるお茶のお話では、テアニンのリラックス効果やカテキンの健康効果を紹介。テアニンの旨みを味わうなら抹茶や玉露、カテキンを摂取するなら煎茶がおすすめ。抹茶なら、成分を丸ごと摂取でき、パウダーになっていることで吸収率も高まります。お茶の成分のタンニンが鉄分吸収を阻害するというデメリットもありますが、植物性の非ヘム鉄はそもそも吸収率が悪く、吸収率の高い動物性のヘム鉄はタンニンと結びつきにくいので吸収に影響しないと説明。カフェインも分解速度や体格などの個人差はありますが、過剰摂取に注意すれば安心して味わえるということです。

終盤の質問コーナーでは、抹茶を使ったお菓子のより詳しい作り方、近年ブームの京都限定抹茶スイーツやグリーンティー、クロレラ入り抹茶についてなど、さまざまな質問が参加者の皆さんから飛び出した他、食文化の進んだフランスで抹茶が好評価を得ていることなど海外で修業されたパティシエならではのお話もありました。

この日が最終回となった連続セミナーについて、最後に藤井孝夫教授(バイオ環境学部食農学科、日本茶インストラクター)から「第1回でも話しましたが、“お茶の京都”が開催されている今年はいろんなところで宇治茶を飲む機会があるので楽しんでください。皆さんのアンケートも活用して、また新たな魅力を紹介していきます」。また、藤井教授とともに本セミナーを企画された本学の關谷次郎名誉教授からも「このセミナーでお茶づくりやお茶の健康機能研究に最先端のサイエンスやテクノロジーが使われているお話を聞いたり、実際に宇治を訪れたり、お茶を味わう体験もしてきました。皆さん得るところがあれば嬉しいです。周囲の方にもぜひお茶の良さを広めてください」と挨拶。本セミナー全6回すべてに参加された方も多く、好評いただいたことへの感謝で締めくくりました。

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