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第5回京町家「新柳居」連続セミナー・「和の花と生き物文化の再生(第2期)」を開催しました

更新日:2017年8月9日(水)
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京の文化を支えてきた植物の危機に対する取り組みをテーマとした昨年度の第1期セミナーに続く、連続セミナー「和の花と生き物文化の再生」の第2期が開催中です。全6回の公開セミナーでは、現地セミナーを含め、さらに多彩なテーマを設定。専門家と市民、行政が交流を図り、それぞれが華やかな「和の花」文化の担い手として、実践的な知見や実効性のある活動について学びます。

7月29日(土)、第5回セミナー「巨椋池の蓮とオニバス」が現地セミナーとして開催されました。会場となった京都大学防災研究所宇治川オープンラボラトリーが位置するのは、かつてこの一帯にあった巨椋池の北端あたり。講師を務められた澤井健二摂南大学名誉教授らにより、宇治川オープンラボラトリー構内に巨椋池流域模型ビオトープが整備されています。

セミナーは、まず巨椋池やビオトープの概要について室内でお話を聞き、ビオトープに場所を移して見学という流れです。
かつて京都市伏見区から宇治市、久御山町にかけて、周囲約16㎞、面積約8㎢の巨大な池が広がっていました。それが巨椋池で、国の天然記念物にも指定された生物多様性の宝庫だったそうです。ところが昭和8年(1933)から16年(1941)にかけての干拓によって池は水田や宅地となり、往時の姿を失ってしまいました。巨椋池流域模型ビオトープは、干拓前の治水や環境保全の機能を復元することで、防災意識や環境保全意識を高めることにつながればとの思いで造られたのだと話されました。

構内の約50m四方の緑地に造られたビオトープは、干拓直前の巨椋池の形を200分の1のスケールで再現したもの。池の深さはほぼ原寸の1mあり、往時の水生植物相を再現すべく、オグラノカガヤキなどのハス、オグラコウホネ、ムジナモ、ウマスゲなど希少種も含めて植栽されています。今回のセミナーでは澤井先生のご案内で、今が見頃のハスの花を楽しむ早朝観蓮会を開催する予定でしたが、当日は蕾ばかりで開花がなく少し残念でした。

巨椋池流域模型ビオトープは、巨椋池を中心とした10㎞四方の範囲を縮小して再現されています。池の周りには桂川、宇治川、木津川を模した川が流れ、道路や鉄道、高速道路も設置。駅や史跡などには標柱が立てられています。また周辺部ではそれぞれに特徴的な植物として、フジバカマ、チャ、マダケなどを見ることができます。植生や環境保全への関心を高めるビオトープですが、とくに注目したいのは、天ヶ瀬ダムが造られていること。50年前の水害を教訓に、洪水を防ぐ実験を行うことができるそうです。河川工学がご専門の澤井先生が造られた、大雨で堤防が切れる前に、被害の少ないところに意図的に氾濫させる越流堤のある流域模型。今注目されているグリーンインフラにもつながる、防災研究所ならではのビオトープなのです。

再び室内に戻り、今西亜友美近畿大学総合社会学部准教授が、京都府レッドデータブックで絶滅寸前種に指定されており、巨椋池にも多かったオニバスについて解説。全国各地で自然再生のシンボル的存在となっているオニバスの遺伝子型は、約20タイプあるそう。同じ種であっても地域によって遺伝的に異なる場合があり、異なる遺伝子をもつ植物を持ち込むことで、各地域の環境に適応した遺伝子を失う可能性もあると強調。湿地の植生を正しく保全するためには遺伝子型に注意して、異なるものは植栽しないことが大切と話されました。

次回は9月1日(金)、「企業緑地とみんなで取組む『和の花』保全」をテーマに京町家にて開催予定。全6回の「和の花と生き物文化の再生」の第2期セミナーを締めくくります。

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