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「十二連筏(いかだ)復活プロジェクト」の筏流しが嵐山・大堰川で行われました。

更新日:2019年2月15日(金)
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十二連筏(いかだ)プロジェクト

2019年2月2日(土)嵐山・大堰川にて、京筏組(保津川筏復活プロジェクト連絡協議会)と京都学園大学民俗学研究室、NPO法人プロジェクト保津川が主催する「十二連筏(いかだ)」の筏組みと筏流しが実施されました。

筏流しは、かつて丹波の山々で伐り出された材木の運送手段として盛んに行われていました。平安京の造営も支えたという伝統の筏流しを復活させようと、京筏組とともに本学民俗学研究室の学生を中心とするメンバーが取り組んでいます。一昨年の師走にここ嵐山で半世紀ぶりとなる十二連筏の復活イベントが成功したのに続いて、この冬も十二連筏が組まれ昔ながらの筏流しが再現されました。

当日は朝から、材木が集められた嵐山通船北浜で筏組みの作業が行われました。澄み渡る青空の下、筏士(保津川下りの船頭)さんの指示を仰ぎながら学生たちが材木を川へと運んでいきます。今年は好天に恵まれたものの、冷たい川の中に腰まで浸かっての作業は大変な様子ですが、筏士さんは学生たちが運んできた材木を次々と川に引き入れ、藤つるやカンを使った伝統の筏を段取りよく組んでいきました。

本学から20数名の学生の他、今年は大阪商業大からも助っ人が参加しています。学生たちは材木を運ぶ一方で、午後から予定されている筏流しを見てもらおうと嵐山を訪れている観光客にPR。この日のために英語・中国語版のチラシも制作しました。筏組みが行われている横でプロジェクトについて説明し、近隣施設から借りて設置した顔出し看板なども活用しながら通りすがりの観光客を楽しませます。接客係の2回生は「今は観光名所ですが、昔の嵐山の様子とどう変わったかが分かって興味深い」、また本学で学ぶ中国からの留学生も外国人観光客を接客しながら「実際に見て参加しながら歴史の重さを感じることができる、貴重な経験」と話していました。
予定通り午前中のうちに6連ずつ組み上げられた筏は少し上流の千鳥ヶ淵まで船で引かれて十二連筏に連結され、午後の筏流しの時まで待機します。そうした一連の記録を撮る撮影係もまた学生たちが分担して務めています。

午後2時からはいよいよ筏流しがスタート。大堰川に流れる伝統の十二連筏を見ようと今年も大勢の観客が集まりました。千鳥ヶ淵からやってくる十二連筏はゆるやかな川の流れの上をゆったり蛇行しながら、観客が待つ嵐山通船北浜へ。近づいてくると全長50メートルにもなる大筏のダイナミックな姿を実感することができます。じつは前回の筏流しで筏が着いた対岸の琴ヶ瀬茶屋よりも今年の嵐山通船北浜は浅瀬になるため操作が難しくなると心配されていましたが、船頭さんたちの巧みな操作によって筏は無事に船着場へと到着。
十二連筏を前に、まず本学民俗学研究室の手塚恵子先生(人文学部 歴史文化学科教授)から、先代の筏士から伝統の技術を受け継がれた船頭さんが紹介された後、黒川孝宏先生(本学非常勤講師・亀岡市文化資料館元館長)から江戸時代の史料に記される材木の種類などが説明されました。昔の筏流しは農家が農繁期を終えた厳寒期に行っていて、この日のように寒い中で行われる冬の風物詩だったという話もありました。観客の皆さんは、昔のように冬の大堰川に浮かぶ十二連筏を観察。サプライズ企画「筏に乗ってみる!」も行われ、学生たちが事前に準備したライフジャケットや長靴を装備して、川に浮かぶ筏の乗り心地を体験していました。

嵐山で十二連筏の筏組みと筏流しが再現されるのは2回目ですが、手塚恵子先生と本学民俗学研究室の学生たちは10年以上前からこの復活プロジェクトに関わってきました。当初は昔の筏士さんの話を聞きに行って記録することから始まりました。学生自ら鍛冶屋さんに弟子入りして筏を組むための金具「カン」を作ったこともあり、今年の筏組みに使われたカンの多くも当時の先輩が作ったものだそうです。今年の学生たちもイベントを成功させるための準備に取り組んできました。
「今年の3回生、とくにやる気があります。この日までの準備もスムーズに進めてくれました」と手塚先生が話すように、助成金を受けるためのプレゼンテーションを行ったり、地元の人々とコミュニケーションをとりながら許可を得たりと奔走してきました。今年の中心メンバーである3回生は「嵐山はもちろん京北や亀岡の地域の方々ともより密接にコミュニケーションをとって協力してもらいながら、これからも地域とともに伝承していきたい」「木を伐採するところから森林組合や京都府立林業大学校などの協力を得ているし、筏を組んで筏流しを再現した後の材木の活用先についてもっと考えていきたい」「他の大学とも組んで発展させていけたら」とプロジェクトのさらなる発展に期待。その期待に応えるように、2回生たちからは「今年は引き継ぎのつもりで先輩の大変な準備を見てきたので、来年は中心となって頑張りたい」と頼もしい声が上がっていました。

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