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先生に聞いてみた【46】 有馬 淑子 教授

更新日:2017年7月6日(木)
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京都学園大学でユニークな研究に携わる先生に突撃インタビューする「#聞いてみた」シリーズ。46回目は、様々な実験を通し、人間一人一人の心理状態の変化について研究をされている有馬先生にいろいろ聞いてみました。

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人間の心理は、奥深く不思議な世界だと思う。
不思議だからこそ、追究したくなる。

画一的な発想ではなく、実験を通じて人間の心をやわらかく考え、とらえる。
心理学は「人間を好きになる学問」だと語る、
社会心理学者 有馬 淑子 先生にお話をうかがいました。

子どもの頃から、SF小説が大好きでした。

Q:人間の心に興味をもたれたのはいつ頃からですか?

私の両親はふたりとも医師でした。だから当然理系で、医師をめざすというのが普通かもしれませんが、私も兄もどちらかと言えば文系志向で、結局医師の道へは進みませんでした。ただ家には、「SFマガジン」という雑誌があって、それを親の影響でよく読んでいました。とくに筒井康隆や星新一の小説などは、子どもの頃から好きでした。そこには、わくわくするような不思議な世界があって、イマジネーションがどんどん広がっていきました。私たちが生きているこの宇宙、そして人間もまた不思議。そういう「ひとことで説明できないもの」にひかれていきました。

そして、中学一年生の時でした。兄から「大阪大学に人間科学部というのができた」ということを聞いたんです。私はとっさに「ああ、そこに行きたい!」と思ったのです。強い根拠があったわけではないのですが、なぜかその思いが叶って「人間科学」を学ぶようになりました。

Q:ご専門の社会心理学とはどんな学問なのでしょうか。

大学に入って、3回生のゼミで徐々に本格的に社会心理学の研究をスタートさせました。人間一人一人には、個々の感情があり個性があり、それぞれ心理の動きがありますね。さて、それが一人から数人、組織や集団、あるいは群衆になった時に、心理の状態や動きがどう変化していくのかということを、様々な実験を経て統計データを分析し、いろいろな角度から考察していくのです。

修士論文のテーマは「リーダーシップの研究」でした。スポーツチームでも企業でもいいですが、ある組織が目的のために前へ進んでいきます。その時あるべきリーダーシップとは何かを考えました。リーダーとメンバーがともに目的意識と達成のための道筋を共有することの大切さを実験データをもとに説いていきました。大学院の博士論文のテーマは「集団極化現象の研究」でした。たとえば、集団内で「あれかこれか」を決める時、はじめはその意見に大差がなく微妙だったとしても、一旦みんなで議論をしていくうちに、その差が極端に分かれてくるということを実証していきました。

単に群集心理や大衆心理の不思議を解明するというだけでなく、たとえば「多数決」や「民主主義のあり方」を考えていく上で大事な社会心理学的な課題になると思っています。

組織や集団の中で人の心理がどう動き、変わるかを考察。

Q:現在、研究を進められているテーマについてお話しください。

とくに今研究をすすめているのが「集合知」についてです。たとえば、聞いたことがあるかもしれませんが、「昆虫知性」という言葉があります。アリやミツバチなどのある種の社会性を形成する昆虫たちは、群れを成しつつ様々な知恵と仕組みを合理的に形成しています。個々の能力には限界があっても、それが集団になった時に、それ以上の力が生じてくるということはありますね。

そうしたことが人間でもあるのではないかという研究が進められているんです。たとえばインターネットの世界では、日々膨大な情報が行き交い蓄積されています。それはたとえ仮想であっても、私たちが今生きて動かしている仮想現実なのです。いやもう一つの現実そのものかもしれませんね。そこには無意識の「生き延びるための適応能力」が集約されているかもしれないのです。仮に「集合知」と名付けてみますと、私たちはそこからある程度、未来を予測できるかもしれないと考えるところまできているのです。

株価や流行、トレンド、顧客ニーズ、あるいは天気までも予測しようと試みるそうした社会心理学の新たな視点なのです。

心理学は、人間を好きになる学問だと思う。

Q:学生たちには、どんなことを学んで欲しいでしょうか。

授業では、個人の無意識の心理分析から、集団や組織、群衆の心理まで幅広く取り上げて話をしています。たとえば「笑い」ってなんだろう。なぜあの芸人のトークを聞くと笑ってしまうのだろうといったことや、あるいは「恋する」ってどういうこと?という身近なことまでみんなと考えるようにしています。別に、学問の入り口に立つ入門編と言うのではなくて、どれもが日常的に体験する心理学の立派なテーマでもあるんですね。だから、研究テーマに、あれをやってはだめといった制約はないのです。

自分が今一番興味をもっていることをそのままたずさえて、入ってきてくれればいいんです。その切実なテーマを、自分の方法で自分の力で、実験などを通じて心理学的に考えればいい。

心理学って、人間の心の大きさそのままなんです。優しいんです。もっともっと人間を好きになる学問と言えるかもしれませんね。

Q:SF小説は、今でもずっと読まれていますか?

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趣味は、今もSF小説を読むことです。魅力は、ずばり「センス・オブ・ワンダー」の一語につきますね。なかなか適切な訳語がないのですが、「異化作用」と言いますか、一つのことを違った視点で見る。異なった次元で考える。「不思議、大好き」ということかなあ。
SF小説で描かれる世界は、もちろん人の想像力の世界であり現実とは違うのですが、時には現実よりも現実らしい感覚で迫ってくるんですね。そうすると、なんだかひとつのカタルシスを得られて、自分だけの「次のステージ」へ超出できるような感じになります。
たとえば、AI.の世界を考えてみますと、開かれた新しい次元に驚きますが、その驚きは無際限に広がっていきますね。現代ってひょっとしたら、「もうSF?」って思うこともあるんです。想像力の翼をもった人間って素晴らしいですね。

arima人文学部 心理学科

有馬 淑子(ありま・よしこ) 教授

大阪府出身。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得。学術博士。プール学院大学助教授を経て現職。専門分野は「社会心理学」。担当科目は、「社会心理学」「集団心理学」「心理学専門演習」(以上学部)「社会心理学特論」「心理学研究演習」(以上大学院)。所属学会は、「日本社会心理学会」「日本心理学会」「米国心理学会(APA)」。主要な研究分野は、「集団過程の心理」「集合知」。

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突撃インタビュー「# 聞いてみた」