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先生に聞いてみた【49】 矢山 壮 准教授

更新日:2017年7月6日(木)
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京都学園大学でユニークな研究に携わる先生に突撃インタビューする「#聞いてみた」シリーズ。49回目は、患者の声を聞き、それぞれの個性に寄り添う姿勢が大切とお話される矢山先生に、精神看護学とその援助論について、いろいろ聞いてみました。

心の健やかさを回復するために
患者に寄りそうことの大切さを知る。

現代社会においてますます重視される、精神看護とその援助。
その根本は、「一人一人の患者の声を聞くこと」と語る矢山 壮先生に、
あるべき基本姿勢についてお話をうかがいました。

Q: 医療への道を志したのは、いつ頃からですか?

元々、医療系の仕事に就きたいと思っていました。大学では、看護学を専攻していたのですが、大学2年生の実習が終わった頃に、少し横道にそれ、一時、政治・経済、とくに株式や投資信託などに強く興味を持ちだして、ファイナンシャル・プランナーをめざしたこともありました。大学卒業を間近に控えた頃には当初の道に戻り、卒論は「禁煙支援の研究」でした。大学院博士前期課程で、「病院看護師による患者への禁煙サポート」についての研究を続け、その頃から、現在の研究につながる「精神看護」についてより専門的に考えるようになっていきました。

2007年には、大阪大学医学部附属病院で精神科の看護師として勤務。3年間、臨床の現場に従事しました。また大学院博士後期課程では、認知症の研究にも携わりました。

患者に寄り添い、見つめ、声を聞く。それが看護の基本。

Q: ご専門の「精神看護学」とその基本姿勢についてお話しください。

現在の専門分野は、「精神看護学」とその「援助論」です。平たく言いますと精神科の患者をどうサポートしていくかを考え、追究していくことです。中でも、統合失調症の患者が中心となります。患者は、どうしても薬による治療に偏りがちですね。ただ、それだけではなかなか発症前の状態まで回復するのは難しいのが現状です。だから、薬物治療に加えて、どうすれば患者自身が夢や希望を持って、再び社会生活への参加意欲を回復することができるかが問題なのですね。

そのためには、たとえば作業療法などによって、集団の中で他人と関わりながら作業を進め、元の日常的な生活のリズムを取り戻すことも大事です。また、そういったことが単なる押しつけではだめですね。強く強制すれば反発も生じます。結局、精神看護においては、決まりきった画一的な看護や援助法はないのです。

Q: 患者はそれぞれ個性があり、一人一人への対応が求められるのですね。

患者一人一人、それは百人百様です。その個々の患者にしっかりと寄り添うことがまず出発点なのです。それから患者の声を聞く。そしてその人が本当にしたいことを知って支えていくことが重要なのです。人間誰しも、得手不得手、好き嫌いってありますね。またその人にとってマイナスになることをやり続けて、落ち込んだり不安になったり悩みを深めたりすることってあるのです。

そういう意味で、精神看護は、「人間対人間の心の対話が基本」だと私は思っています。決してフィジカルな対応だけでなく、ある意味でそれを超越した、個と個のふれあいこそが肝心なのです。

別の言い方をしますと、これまでの精神看護においては、ややもすると医療主導であったものを、これからは看護する私たちの目前にいる患者主導の方法を、どのように深めていくかが今こそ問われているのです。

医療主導から患者主導の、きめ細やかな看護と援助へ。

Q: 心の回復のために、どんな方法が試みられていますか。

矢山講演時の写真

私が今、専門に研究をすすめている分野に「WRAP(Wellness Recovery Action Plan)」=「元気回復行動プラン」という健康自己管理プログラムがあるのですが、ちょっとその話をしてみましょう。

10数名が参加するWRAPクラスでは、元気でいるために自分でできる毎日の工夫などをまとめたWRAP、すなわち「自分取扱い説明書」を作っていきます。ただ、参加者が患者かどうか、職業や、どんな症状があるかも一切知らされていません。名前はそのクラスで呼ばれたい名前をそれぞれが決めて呼び合います。

たとえば、ある人は、雨の日が引き金となり気分が沈みがちになる時、アクションプランとして、音楽を聴いたら気持ちが回復するという道具箱を作ります。参加者は一定の場と時間を共有して、徹底的に心をひらいて語り合います。

そうすることで、その人独自の、元気回復のためのアクションが見いだせるという方法です。これもまた、患者主導へのひとつの道と言えます。

心で看て心で見護る。それはすべての看護に通じる姿勢。

Q: 看護師をめざす学生たちへのメッセージをどうぞ。

本学科の学生は、ほとんどが看護師をめざしています。でもまだまだ精神科の看護師になることを志している人は少ないですね。ただ、ちょっと視点を変えてみますと、精神看護や援助は、「心で心を看て護り、それを支える」という意味では、一般科のどの看護師にも必要な、基本姿勢だと思うのです。

そういう意味でも、精神看護について真剣に話を聞いて自ら考え、いろいろなことを学ぶことで、これから社会に出た時に、広く医療の現場において生きた知識になると確信しています。講義では、ドキュメント映画などを通じて、精神看護の世界をわかりやすく紹介したりもしています。とにかく一人でも多くの学生たちに、関心を深めていただきたいですね。

矢山先生健康医療学部 看護学科

矢山 壮(ややま・そう) 准教授

大阪出身。大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻博士後期課程修了。博士(看護学)。大阪大学医学部附属病院、千里金蘭大学を経て現職。専門分野は「精神看護学」、「WRAP」。担当科目は、「精神看護学援助論」「精神看護学援助論演習」等。趣味は、とにかく「今食べたいものを食べる」という実践派グルメをめざしている。

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突撃インタビュー「# 聞いてみた」