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先生に聞いてみた【64】吉村 貴子 准教授

更新日:2017年8月7日(月)
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京都学園大学でユニークな研究に携わる先生に突撃インタビューする「#聞いてみた」シリーズ。64回目は、言語聴覚学科の吉村先生に、言語聴覚士としての心構えやその役割について、いろいろ聞いてみました。

コミュニケーションのプロとして、個々の人々に寄り添い、
ともに歩んでいく言語聴覚士になるために。

ことばをしゃべるとは、コミュニケーションをとるとは、どういうことなのかを様々な学問的な領域からつきつめる。そして学んだことを臨床の現場で活かすために、どのような心構えが肝心なのか。自らの臨床体験に基づいた貴重なお話を吉村貴子先生にうかがいました。

今の社会で、真に必要とされる学問を求めて、広い視野から方向を選択。

Q: 先生はいつごろから言語聴覚士に興味をもたれたのでしょうか。

生まれ育ったのは関西ですが、大学は東京の慶応義塾大学総合政策学部に進みました。 1、2回生の頃は、公共政策や非営利経営など全般的なことを学びました。現在、私が関わっている専門研究分野と間接的に関わる部分もありますが、大きくかけはなれていますね。
当時、この学部は様々な新しい試みがなされていて、とても自由な学風でした。たとえば同時に開設された環境情報学部とカリキュラムが共有されていて、2つの学部を自由に横断して受講することもできました。学問の分野や領域を超えて、現代社会が抱える問題に取り組むという理念に根差していました。自分自身で問題を発見し、その解決策を「実践知」として養いながら求めていくというアクティブ・ラーニングをすすめていました。
3、4回生になって、私自身、芸術やコンピューター、そして心理学への関心を深めていき、とくに精神医学に強く関心を抱くようになりました。精神医学のみならず、医学や医療という学問は、言ってみれば文系と理系の間のような領域ですね。文と理どちらかに偏っているのではなく、どちらも必要となる学問です。そして、臨床心理学の領域に興味をもって、大学院の障害児教育や認知心理学の教室での失語症の研究から、徐々に言語聴覚士の道を歩むようになりました。

Q: ご専門の研究分野、またご担当の科目についておたずねします。

現在の主な専門研究分野は「認知神経心理学」や「認知神経科学」です。担当科目は、「失語・高次脳機能障害学」や「言語聴覚療法学総合演習」などで、受講する学生たちのほとんどが、国家資格である『言語聴覚士』をめざしています。
人間は、ことばでもって、それを重要なツールとして、自分以外の人々や社会と関わり、コミュニケーションをとっています。それがなんらかの疾患や事故によって障がいが生じることがあります。これまでことばを理解し、しゃべっていた人が突如、そのことに支障をきたす。これは、誰にでも起こる可能性があることなのです。
また、コミュニケーションに必要なのは、ことばだけではないですね。相手の表情を理解する、手振りで表現するなど、行為や動作・記憶など、さらには非言語の認知能力も求められます。
私たち人間がどのようにしてことばを理解し、ことばをしゃべっているのか。また他人とどのようにコミュニケーションをとっているのか、そこには実に複雑で奥深い、生理学的、また言語・心理的な仕組みや背景があるのです。

コミュニケーションの専門家としてその役割を全うするために。

Q: 言語聴覚士になるための、基本的な心構えについてお話しください。

言語聴覚士というプロフェッショナルは、つねに臨床の現場において障がいをもった一人一人の方々に寄りそって、その改善に向けて支えていかなければなりません。その要因や背景もすべてが個々別々ですね。それを的確に把握して適切な介入方法を見つけ出していかなければなりません。ときには、ご家族の方々とも何度もお話ししていく必要もあります。

また現場では、たとえばリハビリテーション科学や脳神経外科学などを専門とする医師がいます。ことばの認識やコミュニケーションに支障が生じている方々と医師の間にあって、コミュニケーションの専門家として役割をはたしていく必要があります。いわば、医師と協働して、コミュニケーションに困難をもつ方々が一歩踏み出すための”水先案内人”が言語聴覚士の役割であると大先輩が言っていましたが、その役割のためにも、私たちがすすんで主導していかなければならないのです。
近年、各医療施設で言語聴覚士の重要性が多方面から認められるようになってきました。その分、役割もより明確になり責任も重大になったと言えます。

障がいとともに、またその人生とともに歩むという自覚を育む。

Q: 学生たちに望むこと、また最も大切にしたいことは何ですか ?

私自身、リハビリテーションの現場に立っていた経験から言いまして、まず大切に思われるのが”コミュニケーション力”ですね。コミュニケーションの専門家をめざすのですから当然ですね。
ただ、おしゃべりが上手ということではありません。ことばの多い、少ないではないです。とにかく相手の思いをしっかり受け止めて、的確に返す。それが肝心です。障がいのある方のその障がいや症状を見きわめ、「障がい(その方の人生)とともに歩んでいく」という心構えが必要ですね。心のきめ、思いやりというのは、たとえことばにしなくてもそれは相手に通じるものなのです。そうした姿勢を尽くした上で、コミュニケーションの観点から、しっかり支えていくのです。そうすることで他の職種の専門家との信頼関係も深まり、より強い連携関係を築いていけるのですから。
でも、まだまだ学生たちは若く、人生経験も少ないですね。ただ、実体験がすべてではないです。できる限り、本を読んで映画なども見て、またさまざまな人々との交流により広くコミュニケーションについての理解を深めていくよう日頃から心がけていて欲しいと思っています。

Q: ぽっかり時間があいたら、どんなことがしたいとお思いですか。

空いた時間があれば、積み残した仕事をするというような性分なんですが。そうですね、最近、年齢を重ねるごとに、新しい場所に行くと心がわくわくしてきますね。旅の楽しみ方が変化してきたのかもしれません。
国内でも国外でも旅することは、大好きです。たとえば国際学会で行った、ヨーロッパのチェコなど強く印象に残っています。これまでどちらかと言えばアメリカのほうが好きだったのですが、ふとその地に立ってじっくりその空気をまとってみますと、まるで、中世へタイムトリップしているような感覚をもったのです。「ああ、私は今、西欧の中世の人だ」と。それが今まで感じたこともなかったような不思議な浪漫体験でした。
これまで旅と言えば、あまり細かなことにこだわりもなく、とにかくいろいろな所を広く旅してみたいと思っていただけなのですが、これからは、もう少しだけ”大人な”旅心をじっくり満喫してみたいと思っています。

健康医療学部 言語聴覚学科

吉村貴子(よしむら・たかこ)准教授

兵庫県出身。博士(学術)。大阪外国語大学大学院言語社会研究科後期博士課程単位取得退学。和歌山県立医科大学付属病院 脳神経外科言語聴覚療法・リハビリテーション科、大阪滋慶学園 大阪医療技術学園専門学校 言語聴覚士学科 学科長等を経て現職。専門分野は、「認知神経心理学」「認知神経科学」「脳機能学」。担当科目は、「失語・高次脳機能障害学」「チーム医療論」等。

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