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先生に聞いてみた【77】内藤 登世一教授

更新日:2017年12月1日(金)
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京都学園大学でユニークな研究に携わる先生に突撃インタビューする「#聞いてみた」シリーズ。77回目は、心理学科の内藤先生に、環境問題や資源問題を経済学のクリアな発想から考えることの大切さについて、いろいろ聞いてみました。

経済学という論理的思考で
環境・資源問題をとらえ、解決のための方策を考える。

経済学は、物事を冷静に正しくとらえるためのクリアな思考方法であり、社会で活きる有力な道具と語る、内藤登世一先生。そのあざやかな考え方と学びの心得についてお話をうかがいました。

Q: 先生は、アメリカに留学されていたと聞きましたが。

出身は大阪市で、小・中・高・大、大学院まで、ずっと大阪の街なかで育ちました。大学や大学院では、経済学部ではなく農学部で農業経済学を専攻しました。そして、大学院の修士を終えた後に、アメリカのオレゴン州立大学に留学しました。どうして留学をしたのかと言いますと、当時、私自身、環境問題に強く関心を持ちはじめていたのですが、1980年代の日本では、現在のようにまだ論議が盛んではありませんでした。それで、より深くこの問題について学びを深めたいという目的もあって、思い切って留学することを決心しました。
そこで、まさにこの環境問題の研究では先端を拓いていた学問の世界に出会ったのです。よく、“目からウロコが落ちる”と言いますが、一気に目を開かされましたね。新鮮な体験でした。少々オーバーに言えば、これまで知らなかった経済学のさまざまなアイデアをここではじめて知った、そんな気がしました。そこで、ミクロ経済学からマクロ経済学、計量経済学などをあらためて基礎から学び直して、マスターからドクター、助手までの8年間をすごしました。

環境問題や資源問題を、経済学のクリアな発想から考える。

Q: 留学先ではどんなことを学ばれましたか?

その時、この世界中でしだいに深刻な課題になりつつあった環境問題や資源問題に対して、経済学を応用してその経済システムを分析し、問題の本質を解明していく方法を学んでいきました。そして原因をつきとめれば、問題解決のための政策を経済システムの中で設計していくことができますね。そうした、ある意味で実質的な経済学の新たな使命を自覚することができたと思っています。
なによりも、経済学は物理学や生物学と同じ科学的方法を用いる学問分野であり、したがって、“科学”であるということを強く悟りました。
そして博士論文として書いたのが「ゲーム理論を応用しての、高度回遊性漁業資源の保全と管理」の研究でした。ある公海上の漁場で各国が無秩序に魚を獲りあったら、やがて資源は枯渇していきます。そうした、限られた資源を計画的に管理しながら守っていくためにはどのようにすればよいかを経済学によって分析、解明、実証していきました。こうした研究が、現在の私の専門研究分野の土台となっていると言えます。

亀岡市に棲む天然記念物「アユモドキ」の絶滅を防ぐために。

Q: 具体的には、どんな研究をされているのでしょうか。

資源問題に関してどんな研究をしているのかをお話ししてみます。たとえば、この亀岡市には国の天然記念物に指定されているアユモドキが棲息しています。名前の通り、アユに似たドジョウの仲間なのですが、現在では希少で、もはや絶滅危惧種とも言われています。この地域の宝でもある貴重な野生生物の絶滅を防ぐにはどうしたらいいかということを、経済学の方法で考えていくわけです。考えてみれば、種の価値は絶大ですね。それが未知のまま消滅してしまえば、将来私たちの暮らしに貢献するかもしれない、あらゆる可能性までも永久に絶ってしまうかもしれないのです。
それでどうするかと言いますと、まず計量経済学の手法で、アユモドキの価値を数値化します。もちろん保護種ですから、町で買うことはできません。あくまで推定ですが、その価値を市場価格として測定していくのです。住民へのアンケート調査等を元に、所帯数と照合して算出した金額は、9,368万円でした。まさに歴然とした数値化であり、科学的発想ですね。
こうすることで、たとえ仮説であっても、市の財政予算でアユモドキを積極的に保護していくことの妥当性が明らかになっていくのです。
これは一例ですが、経済学が資源保護や環境保全に貢献するための一つの方法であることは確かですね。

心はあたたかく。そして頭はクールな論理的思考を。

Q: 経済学に特長的な思考法についてお話しください。

学生たちには、経済学の基礎からお話ししています。その基礎も、この世界で起る様々な事柄について理解をし、解明をし、問題を解決していくための有効な道具になるということを教えています。本学を卒業して一般企業に勤めたときに、経済学のアイデアを身につけることがいかに大切なのかをよく講義を通じて語っています。とくにその思考法ですね。

物事には、良い面と悪い面がありますね。でも、人はどうしてもどちらか一面だけにとらわれてしまいがちです。でも、AかBかを選択しなければならない時もありますね。そこでは、クールな論理的思考が求められるのですが、日本人は、これがどちらかと言えば苦手なんですね。経済学自体、元々西洋で確立されましたから、そこでは、冷静で相対的な思考、つまり両面を比較してバランスを考え、その上で選択することが求められるのです。でも、私たちの思考方法は、どうしても絶対的な考え方に偏ってしまいます。
また物事を考える場合、「なぜそうなのか」という、英語でいう「Why」や「Because」がまず前面に出てくるのですが、そうならない。だから、学生たちには、明解でクリアな思考法を、経済学を学ぶことで身につけて欲しいですね。
経済学者のアルフレッド・マーシャルが1885年に学生に残した金言「心はウォームで、頭はクール」、そうしたクールな思考が大事ですね。

Q: 今、熱中していることは何ですか?

大型バイクもご趣味のひとつ
今は、「ヨガ」に力を入れています。週に4日か5日、1時間ぐらい、もう4年くらいやっています。身体の根幹から正していくといった、身体的な治癒効果を求めてはじめたのですが、実は、精神的にもとても心地がいい運動であることが、徐々にわかってきました。
全身運動で、ふだんあまり鍛えていない首や背中の筋力増強などにも効果があるのですが、呼吸の仕方だけでも、新しい発見があったりします。

息をととのえながら、無心になって自分の身体と対話していく。そういう時間は、学問の世界にはないもう一つの貴重な体験ですね。とにかく、毎日その効果を心と身体で実感しています。「ヨガ」に出会えてほんとうによかったと思っています。

人文学部 心理学科

内藤登世一(ないとう・とよかず) 教授

大阪市出身。オレゴン州立大学Ph.D(環境・資源経済学)。本学経済学部教授、米国ミネソタ大学応用経済学部客員研究員、本学人間文化学部国際ヒューマン・コミュニケーション学科教授を経て現職。専門分野は、「環境・資源経済学」。担当科目は、「経済学概論」「環境経済学」「国際社会と環境」「国際社会と資源」等。大型バイクでのツーリングなども楽しむ。

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突撃インタビュー「# 聞いてみた」