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先生に聞いてみた【80】飯野 秀子 准教授

更新日:2018年1月30日(火)
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京都学園大学でユニークな研究に携わる先生に突撃インタビューする「#聞いてみた」シリーズ。80回目は、臨床心理士としてもご活躍中の飯野先生に「心理教育相談室」の役割について、いろいろ聞いてみました。

臨床心理学の実践を通じた社会貢献。
学びの場でもある、「心理教育相談室」の活動を支えて。

地域社会に開かれた心理カウンセリングの場として、また教育の場として機能する「心理教育相談室」。そのあり方を通じて、何が大切で、何を学ぶかについて飯野秀子先生にお話をうかがいました。

Q: 先生は、学内の「心理教育相談室」で学生を指導されているのですか?

一般の大学の教員のように、教室で講義をしているのではなくて、本学・京都太秦キャンパス内にある、付属の心理教育相談室で、学生たちを指導しながら、自らも臨床心理士として心理療法を行うセラピストとして活動しています。 この心理教育相談室は、一般の方々に広く開かれた施設で、個人・家族・地域社会等に対して、臨床心理学的な支援を実践する地域貢献の場となっています。また、本学で臨床心理士をめざしている大学院生のための教育訓練機関としても機能しています。幼児から、中高年の方々まで、幅広い年齢層の方々が来談され、個人面接・親子並行面接・あるいはグループでの子育て相談会など、多様なスタイルで心理カウンセリングを行っています。
いわば、大学がもっている様々なリソースを活かして、決して営利目的ではなく、地域社会の中で活かしていくために、あくまでオープンな場として開設されているのです。場合によっては、医療機関との連携もはかりながら、広い意味での社会貢献の一助としての役割も担っていると考えています。

地域社会に広く開かれた、心理カウンセリングの実践活動。

Q: 具体的には、どういった活動をされているのでしょうか。

人間誰しも、悩みをもっていると思います。自分自身の過去を振り返ってみても、若い頃から様々なことに悩んでいた時期もありました。私が、今の臨床心理学を学ぶようになったのも、そうしたことを自分なりにより深く知りたい、突きつめていきたいということが一つの契機になっていたように思われます。そこで学び経験したことを少しでもお返しすることができればという思いで、日々のカウンセリング活動を行っています。

たとえば、現代の私たちの身の回りの社会を見わたしてみても、家庭や職場、学校などの様々な場で、人間関係や実に複雑な背景のもとで、自分と人との関係や自身の心の内をじっくりと見つめることが困難になってきていますね。それらが混ざり合ってどうしても解決できない悩みとなって抱えてしまいがちです。
極端に言いますと、何が悩みなのかわからないということもありますね。ひとことでは言えませんね。心理的なことが要因で、人と変わった行動をしたり、また歯痛や肩こりなどの身体的な不調が生じることもあります。悩みといっても、それは個々それぞれ多種多様で多岐にわたります。だから「生きづらさ全般」に対してじっくりとお話をうかがい、また、より深くふれあう場であり、時間なのですね。

まず、しっかりと来談者の話を聞くことが基本中の基本。

Q: 貴重な、実践学習の場にもなっているのですね。

カウンセリングの基本は、指導とか助言が先に立つわけではないのです。まず、しっかりと来談者の方のお話を聞く、これが肝心です。当相談室は、大学院生にとっては学内での実践学習の場にもなるのですが、とにかくこの「しっかり聞く」ことの大切さを指導しています。
もちろん、来談者と実際に接する前に、しっかりと理論を学び様々な実習を重ねますし、キャンパス内で学生同士による事前のロールプレイング学習なども行っています。そうしてはじめて実際にカウンセリングの場に立って来談者とじかに接するのですが、学生にとっては、かなりハードルは高いというのが現実かもしれません。でもこの「難しさ」を実感することが重要な学習体験にもなるのです。
ただ、そうした実践の場としては、ある意味で理想的な条件が備わっているとも言えます。集中できる環境が整っている上に、実践学習の場と理論学習の場が直結しているわけですから。ここでの貴重な体験を、社会に出てからも自分なりにぜひ活かして欲しいと願っています。

人として誠実に真剣に、ふれあい語らい、学ぶ。

Q: 学生たちに、どういったことを身につけて欲しいとお思いですか。

ここでの経験は、ほんとうに貴重だと思うんですね。実に様々な人たちに出会うのです。しかも一人のセラピストとして真剣に対峙するわけです。人それぞれの「生き方」にふれて知る。様々な価値観がそこにはありますね。どちらがいいとかいうのではなくて、その生き様にふれることが重要になるんですね。 ここでの学びの方法も、また一人一人の学生たちにとって一様ではないですね。それでいいんです。その個性もまた大切にしていきたいと思っています。積極的な人、引っ込み思案の人、学生たちのパーソナリティも様々です。一人のセラピストとして自分の個性をなくしてしまってはなんにもならない。いや、豊かな個性を育んでいかなければ、来談者との深いやりとりも生まれてこないと思うんです。

そうして専門家しての知識や技術を育んでいって欲しいと思うのですが、一方で一般的な社会人としての常識や教養も身につけて欲しいですね。具体的には、敬語の使い方や簡単な立ち居振る舞いなども含まれてきますが、基本的なことだけでもマスターしておく必要があります。いくら専門的なことを修得できたとしても、一社会人、一職業人であることの自覚をなくしてはだめだと思っています。

Q: 先生が日頃から、心がけておられることとはなんですか。

言葉にするのはむずかしいですが、そう考えてみると、明恵上人の「あるべきやうわ」という言葉が浮かびます。非常に深い言葉であり奥行きのある考えでもあるので、簡単に言えるものではもちろんないのですが。これは「あるべきように」つまり自己流に「あるがまま、なすがまま」でよいと言うのではないのですね。根本には、「あるべきようは、何か」という自覚があって、自分が生きていく上で最も大切なことがらに対して、つねに誠実に対処していくこととなるでしょうか。しかも画一的な思考方法ではなく、自然な流れの中で実践していければいいなと思っています。自分自身にとっても教育という場面においても、なかなかむずかしいことですが、つとめてそうしたいですね。

話がかなり横道にそれるのですが、時々、鴨川の中州で靴を脱いで、裸足になって立ってみるんです。空を見上げて深呼吸します。鳥が舞っています。風の音、水の音が心身をつつみます。そのとき、「ああ、地球にアース(放電)してる!」と実感できるんですね。同時に、自分が大きなものに受け止められているといった感覚もあります。人間って、自然の真っ只中にいる時って、ゼロになれます。単なるロマンチストの発想ではなく、なにか解放された気分にきっとなれますよ。一度やってみてください。

心理教育相談室

飯野秀子(いいの・ひでこ)准教授

教育学修士(京都大学)。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程臨床教育学専攻。専門分野は、「心理臨床学」。担当科目は、「臨床心理実習」「臨床心理基礎実習」。主な研究内容として、ロールシャッハ法における体験様式について心理臨床実践に基づいた研究を進めている。

 

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