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先生に聞いてみた【85】池田 晃彦 講師

更新日:2018年5月29日(火)
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京都学園大学でユニークな研究に携わる先生に突撃インタビューする「#聞いてみた」シリーズ。 85回目は経済学科の池田先生に、経済学をメインに学ばれることとなった経緯やみなさんへのメッセージなど、いろいろ聞いてみました。

なぜ、そうなるのか。これから、どうなるのか。
今も日々動いている、世界の経済を知る。

身近な暮らしの背景や根本にある経済のメカニズムを理解することが、社会に出て必ず実る学びとなると語る池田晃彦先生に、自らの学びの体験を通してその大切さについてお話しいただきました。

Q: 現在の研究に進まれるまでの道筋についておたずねします。

出身は、三重県の四日市市です。中・高と剣道をやっていました。大学は、小さい頃から憧れていた、京都へ行くことになりました。さあ、好きな京都で、好きな勉強をやるぞ!と意気込んで上洛してきたわけです。京都大学の総合人間学部に進学。その名の通り、どちらかと言えば学際的な学部でしたが、大学では、政治について学ぶつもりでした。またそのためには、法律や経済も重要であると認識していました。
ただ、大学に入ると同時に、興味はより多分野に広がって、精神分析、人類学、分子生物学、言語学など、もう際限なく学ぶようになっていきました。好奇心のおもむくままにといった感じでしたね。ただ、一方で中心となる学問は、何なのかと悩んでもいました。
そこで、自分の興味の根本にあるのは経済問題ではないか自覚するようになり、次第に経済学を軸に据えて学ぶようになりました。
ところがその後、大学院では法律を学ぶようになり、再度経済学に戻るという経緯を経ました。結果的には、大学進学の前に考えていた通り、法律と経済という二つの学問の道を歩んできたわけです。今では、経済、とくに金融の研究をする上で、法律の専門的な知識は大いに役立っています。

自発的に、自由に好奇心や興味の芽を育むことが大事。

Q: 先生にとって、大学で得たもの、学んだこととは何ですか。

今から考えてみますと、自分を背景から支えているのは京都という町が長く培ってきた、自由に学問する精神ではないかと思っています。学問的な関心は、多岐にわたりどちらかと言えば好奇心のおもむくままに、知りたいことを知り、好きなことを学んできました。知りたいことを抑え込むのではなく、たとえそれが、いますぐに役に立たないことがわかっていても、とことん追究していく。そういう姿勢ってとても大切だと思うのです。
とくに若い時に、自分の持てる情熱で学んだことというのは、後々決して無駄にはならないと思っています。それがすべて、“知の栄養”となると、私は信じています。

新興国の経済情勢を知ることで、日本経済の今も知る。

Q: では、現在研究されている、主要なテーマについておたずねします。

現在私の研究テーマは、「新興国の景気循環」です。たとえば、こうした国々においては、なぜ景気変動が大きいのか、また頻繁に金融危機などが生じるのかといったことを様々な要因を検討しながら研究を進めています。とくに、南米諸国では、これまで幾度となく金融危機に直面しています。そうした事例が多く蓄積されているということもあって、先進国の研究にもその知見が生かされつつあります。例えば、日本のバブル崩壊後の不況も、新興国と同様の金融市場の不完全性が原因だという見解があります。
また、今後は企業の規模や都市か地方かに関わらず、新興国との関係が重要になってきます。つまり新興国の発展のためだけでなく、日本経済の発展にとっても、この研究は重要だと感じています。

経済学も、自分にとっての実学を身につけること。

Q: 経済学、マクロ経済学を学ぶ意義とはなんでしょうか。

経済学は、一見、非現実的で自分たちの生活と関わりがないと思えてしまうかもしれません。でも、実は自分たちの生活を守る上でとても重要なのです。
たとえば政府が消費税を上げる一方で法人税を減税しようとしたり、日本銀行がインフレを起こそうとしたりしていますね。この背景には、実はマクロ経済学の理論があるのです。理論内容の是非は別にして、実際に政府や日銀の施策となっているのですから、現実経済と密接に関係しています。
またこういうことも言えます。経済は個々の企業の力で動いていきます。しかし、各企業がどれだけ努力してコストを削減し、売り上げを伸ばしたとしても、日本銀行が金利を大幅に変更したり、政府が税を変更することによって、その努力が活かされないこともあります。政策のほかにも、バブル崩壊やリーマンショックといった大きな力の前には、企業努力だけでは太刀打ちできません。各企業が存分に力を発揮するためにも、マクロ経済の動向や政府の動きについて理解できるようになり、その背景を知ることが大切なのです。年金等の備えをするという意味で、家計にとっても同じです。そういう意味で、マクロ経済学は生活のための実学だと思っています。

Q: では、学生たちに伝えたいことがあればお話しください。

大学での4年間というのは、人生にとってすごく貴重な時間だと思っています。言ってみれば、自分自身の好奇心の芽を育み、枝を伸ばし、青々とした葉を自由に繁らせていく時間かもしれません。だから、とにかく何事にも興味を持って追求していって欲しいですね。
自分の経験から言って、結局のところ、役に立つかどうかを度外視してやってきたことは、どれも自分の考えを形作るものになって、役立っています。実学かどうか、というのは結果であって、自分にとってどれが実学かはあとにならないとわからないものです。
「なぜだろう、どうなっているのだろう」という、少しの好奇心の芽があれば、好きだと思える講義は、単位と関係なくすべてとればいいと思っています。その芽が自発的であれば、必ずいつか実ってきます。

Q: 最後に、研究の時間以外で先生が趣味と言えることがあればぜひ。

趣味と言えるかどうかわかりませんが、中学生くらいのころから語学を勉強するのが好きで、最近は中国語を少しずつ始めています。今までにドイツ語やフランス語、アラビア語もやっていたことがあります。英語以外は、今のところ研究でふれることもないため、使えるというほどにまで勉強しているわけではないのですが、語学をやっているといろいろなもの考え方に触れることができるのが面白いのです。語学は、何かに役立てるための学習というよりも、それ自体を楽しむようにしています。その国の文化的な興味がはじめにあって、それをより深く知るために言葉を知りたいという気持ちのほうが強いですね。
また最近、中国の古典に興味を持つようになり、四書五経や史記などを読んでいます。かつて中国の科挙や日本の漢学で文献解釈ばかりが強調されたために、「虚学」的なイメージもあります。しかし、実際には、現代でも役立つ実践的な教訓がたくさん含まれています。福沢諭吉が『文明論之概略』の中で、漢学が悪いから実学(科学技術等)を勧めるのではなく、漢学だけでは不十分であるから実学も必要だと強調していましたが、そのことを実感しています。
このように、現在も、私の興味や好奇心の方向は、様々に枝を伸ばしています。その根本には、人の営み全体に対する関心があるのだと思います。経済も支えているのは、人ですね。人がいて、生活があり、経済がある。それだからこそ、知りたいことに限りはないのかもしれませんね。

経済経営学部 経済学科

池田晃彦(いけだ・あきひこ)講師

修士(経済学)。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程学修認定退学。専門分野は、「新興国における景気変動の要因、金融危機への政策的対応」。担当科目は、「マクロ経済入門」「専門ゼミA・B」「スタートアップゼミA・B」「実践プロジェクトA・B」。所属学会、「日本経済学会」、「米国経済学会(AEA)」。

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