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先生に聞いてみた【87】木口 武博 准教授

更新日:2018年7月11日(水)
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京都学園大学でユニークな研究に携わる先生に突撃インタビューする「#聞いてみた」シリーズ。87回目は経済学科の木口先生に、暮らしのごく身近な問題を考える知恵にもなる実学の一つである経済学について、いろいろ聞いてみました。

答えを求めるだけではなく、物事の考え方を学ぶ。
経済学は、生活のための知恵にもなる。

一つの用語から、経済という全体の仕組みとそのメカニズムを知る。知れば日々のニュースへの理解も深く面白くなると語る木口武博先生に、経済学を学ぶ意義についてお話しいただきました。

Q: 大学の教員、研究者になるまでのことについておうかがいします。

出身は、長崎県の島原市です。小・中・高と過ごしました。大学は、東京へ出て商学部に入りました。大学に入って、ずっと塾の講師をやっていて、人にわかりやすく物事を教える仕事に就きたいという思いから大学の教員をめざすようになりました。その後、大学院へ進むなかで、研究面でも優れていなければよい教員にはなれないという思いを強くし、27歳の時にイギリスへ留学しました。オックスフォード大学とロンドン大学で学んで、研究者への道を歩むようになりました。

その頃は、とにかく経済学研究の基礎を身につけるために懸命でした。国際的な学術論文が書けるようになる実力を養うために、現代経済学の基礎となるミクロ経済学・マクロ経済学・計量経済学について大学院レベルの理論や分析手法を学び、その後は専門論文を読みこなす学習を実践していきました。日本で論文を読んでいた、世界的にも知られた先生方や、ノーベル経済学賞を受賞された先生の講義にも間近に接して強い刺激を得ました。自分は世界の中で学んでいると実感していていたことを思い出します。

移民が一国の経済を動かすそのメカニズムを探る。

Q: 現在先生が研究されている、主なテーマは何ですか?

現在、私の主な研究テーマは、「移民の拡大がマクロ経済動学に与える影響について理論的・実践的に分析」することなのですが、この研究は、イギリス留学時から現在まで続いています。とくに、アメリカやEU諸国においては、この問題は切実ですね。イギリスでもそうでした。移民が入ってきて、受け入れた国の経済がどのような影響を受け、変化していくかを考察、分析してきました。
このテーマは、多様な視点が求められます。たとえば、ミクロデータと呼ばれる個人レベルのデータを用いた実証分析から、国全体の経済動向を示すマクロデータを用いた研究もあります。私自身は主に後者の研究を行っており、移民の受入が経済成長や、労働市場および財政へ及ぼす影響を分析しています。こうした学術成果を一つずつ積み重ねていくことで、わが国も含めて、今後の移民政策に関する議論に経済学の観点から寄与することができると思います。

知ることは、次の知ることに必ずつながっていきます。

Q: 現在本学で、どういった講義をされていますか。
オックスフォード大学の入学式で

講義では、学生たちに経済学の基本となる見方、”入門”に近い内容を話しています。経済学は、ややもすると理論が先行した、抽象的で理屈っぽい学問と思われがちですが、実は私たちの暮らしの、ごく身近な問題を考える知恵にもなる実学の一つとも言えます。
たとえば、”プライマリー・バランス”という言葉があります。耳にされたことはあると思うんです。日本語では”基礎的財政収支”ですね。ぱっと聞くと「なんだか難しそう」と思ってしまうかもしれませんが、平たく言いますと国の”お財布の中身”のことです。国の財政において、「政策のための費用を借金以外の方法でどれほどまかなえているか」という健全性を示す指標です。そこから、政府の財政政策についても考えるきっかけにもなってきます。こういうことを知ることで、たとえば新聞の経済面やテレビの経済に関するニュースも理解することができて、教養の幅が一気に広がっていきます。つまり、生活の知恵でもあるのです。

経済学は、答えを得るためでなく”考え方を学ぶ”学問。

Q: 経済学を学ぶ意義について、先生のお考えをぜひ。

つねづね考えていることなのですが、経済学というのは、答えを教える学問ではないのです。経済は、生身の人間が動かしているのですから、つねに生動変化しています。その動きを考える、また考え方を養って、答えではなく”考え方を教える学問”だと思っています。
だから、学生たちには、ここで身につけた物事に対する考え方を、より多角的に知り、それを活かして、自分の頭の中でさらに突き詰めて考える力を育んで欲しいですね。この力は、卒業して社会に出た時に必ず活きてきます。

大学では、日々の講義だけではなく、図書館やたくさんの資料、また専門化されたゼミなども含めて、知的な好奇心に見合った豊富な資源が満ちています。これらをもっともっと十二分に活用して欲しいですね。

それから語学も重要ですね。実際この世界では、日本語の情報よりも英語で書かれた情報のほうが圧倒的に豊富です。そこに確実に存在している豊かな情報のフィールドにアクセスできないというのは、どう考えてももったいないと思います。語学力を身につけることで知力は、加速度的に上がるということをぜひ知ってください。
とにかく、知らないこと、わからないことをそのままにせず、どんどん前へ積極的に踏み出してください。先生方もしっかり、その積極的な力に応えて支えていきます。

Q: ふだんご興味をもっていることについてお話しください。

趣味と言えるかどうかわかりませんが、今、将棋がブームですね。でもブームになる前から、将棋には興味があって、ずっと”観て”きました。将棋をさすことに夢中というわけではなく、どちらかと言うと”観る将棋”ファンなのです。インターネットでの対局動画配信の影響もあり、ここ数年は私のような観る将棋ファンが急増しているそうです。

将棋の番組では、プロ棋士の方の解説を熱心に聞いています。将棋は、棋士一人が、自分の頭脳の力、思考力だけで、誰の助けも借りずに闘いますね。論理と感性の嵐がそこに吹き荒れていて、その点に強く魅かれています。今のところ将棋のレベルは、まったくの素人ですが、対局動画をたくさん観てきたおかげで戦法には詳しくなったので、いつかは段位をとってみたいです。

経済経営学部 経済学科

木口武博(きぐち・たけひろ)准教授

MPhil in Economics(オックスフォード大学)・PhD in Economics(ロンドン大学)。国際通貨基金(IMF)サマーインターン、早稲田大学商学学術院助教をへて現職。専門分野は、「応用マクロ経済学」。担当科目は、「経済学入門」「マクロ経済学入門」「マクロ経済学」「スタートアップゼミ」「実践プロジェクト」「キャリアサポート実践講座」等。所属学会は、「日本経済学会」「アメリカ経済学会(AEA)」「日本経済政策学会」。

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